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ドイツ製Netflixドラマ「DARK/ダーク」シーズン3ネタバレ雑感|ありがとう!いいSFでした!

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Netflixで配信されているドイツ製作のドラマシリーズ『DARK/ダーク』。いまどき珍しく、3シーズンでスマートに完結してくれました! 前シーズンのラストからは不穏な予感しかしなかったのですが、いやいや、予想外に大満足の最終シーズンだったと思います。

以下、ネタバレ全開で感想を書いていきますのでご注意ください。シーズン1とシーズン2の感想記事はこちらから。

では以下、ネタバレありです。





意外に楽しいエピソード1

おいおいおい、パラレルワールド始めちゃいます?! と白目をむいた前シーズンラスト。風呂敷とスケールを広げすぎちゃって収拾つかなくなる海外ドラマあるあるの展開に、DARKお前もかと嘆いた人は多かったことでしょう。

そんなわけでろくに期待もせず「どうせもう難解の極みなんでしょ」という姿勢で観始めたエピソード1『既視感』だったのですが、これが意外と楽しかった!掴みが良かった! DARKともあろう根暗ドラマが、このエピソードに関してはかなりド直球のエンタメできたなと思いましたね。

その内容は、ずばりパラレルワールドのヴィンデンを見せてくれる回。これ「既視感」というより「違和感」のほうが個人的にはしっくりくると思いましたけど、まあとにかくお馴染みの町と面々がなんか微妙に違うのです。住んでる家が違う、夫婦関係が違う、不倫相手が違う、キャラクターの設定が細々と違う(髪の色が違う、眼帯をしてない、その代わりに腕がない、違う人の目が潰れてる、喋れる、喋れないetc...)。えっ、面白いじゃん!!

ヨナスのいない世界ってことで、ここではマルタが黄色いレインコートを着てヨナス役をこなします。なんなら住んでる家も部屋もヨナスの。面白いじゃん面白いじゃん。あとシーズン2ラストから思ってたけど黒髪マルタ可愛い。好き。このシーズンは頑張れそうな予感。

理解の範疇を超えてもなお面白い

わたし基本的には、難解に難解になっていくタイプのお話、あんま好きじゃないんですよね。ただ、DARKはそのへんの塩梅が非常にわたしと相性がいいらしく、どんどん理解不能になっていくのだけれど、でも面白い! ってのを貫いてくれたドラマでした。分からないなりに毎回かなり引き込まれてました。

分からないといっても極端に置いてきぼりにはされたくないので、今シーズンは毎話見終えるごとに前シーズンの最終相関図(こちらのお世話になりました)を見ながら「今回起きたこと」のメモをノートに書き殴ってですね、半分くらいは把握してから先に進もう、という感じにしてました。

ちなみにわたし、アダムとエヴァの動きについては早々に考えるのをやめております。そこ一番大事なとこじゃんと言われそうですが、ああいう神レベルのキャラクターにはあんまり面白みを感じないので、もう「そういうもの」として見るようにすると楽なのです。そういうとこ抜きでも、タイムトラベルとかパラレルワールドとか全体的な雰囲気だけで楽しいじゃん! ってのがわたしとDARKの付き合い方です。

最後まで貫かれた『BTTF』感

どんな顔して『バック・トゥ・ザ・フューチャー』やってんだよ。ってのがこの作品に対するファーストインプレッションであり、最終的な感想でもありました。タッチは全然違うのに、ダークなのに、でも明らかに『BTTF』だよね、っていうポイントの多さ。今シーズンでは壁時計や目覚まし時計の見せ方がモロだったり、意図せず1800年代へ飛んじゃったら核燃料がなくて戻れないとかいうモロなことを言っていたり、とにかくベタベタにモロ。なのにタッチはダーク。このミスマッチ感がたまらなく好きだったんですよね。

ラストも要は、『BTTF3』のラスト的なことじゃないですか。タイムトラベルが諸悪の根源だ、タイムマシンを壊しちまえ、という。まあBTTFではいざデロリアンを壊したら新しいタイムマシンでドクが現れちゃうわけですけど、本作のラストもそういうニュアンス含んでますしね。体が消えていくのも、マーティの手が透けていくアレの視覚効果アップデート版でしょう。そういうところが、好き。

予想外のハッピーエンド

あ、こういう終わらせ方するんだと意外でしたが、でもすごく良かったし、あんな複雑な物語のわりには納得できたなと思いました。タンハウスの世界を救う話だったのね〜〜。そりゃ、確かにあんな世界は「間違い」よね。

タンハウスといえば、明和電機かジェームズ・ハリデーみたいな中年タンハウスの回想と独白から始まるエピソード7は、不意を突かれた感じで興奮しました(HBOドラマ『チェルノブイリ』最終話を連想)。二つの可能性が共存していること、人生の分岐点において「選ばなかったほう」も存在していること、そのへんのニュアンスが自分なりにわりと理解できたのは、ラストスパートを楽しむ助けになりました。

ラストの食卓シーンがまた秀逸でしたね。あの面子である理由というのを、ちょっと真面目に考えればなるほどと理解できる難易度にしてくれてるのが親切だなと。起源に関わってない人たち、強い! それと、眼帯男の天丼ギャグが最高すぎて。散々引っ張ってお笑い要員って。この世界観でよくやるわ!(褒めてる)

素敵なSF作品を作ってくれたことに感謝

とりあえず、完走した翌日の感想としてはこれぐらいにしておきましょう。一時はどうなることかと思ったけれど、結果的にはこのDARK、間違いなくSFの新たな傑作です。3シーズンというコンパクトなパッケージなら人にもお薦めしやすいし、感謝しかありません! いいもの作ってくれてありがとう! 無事完結した今こそ、あらためてイチオシです!

最後に、そういえば書いてなかったかもという、わたしとDARKの運命的なやつを貼っておきます。

おかげさまで、こちらの世界では34年目に突入できました。