気まぐれ自叙伝 わたしの音楽遍歴【第5章:中学2年生、B'zに出会う】
何者でもない「わたし」の音楽遍歴をたどる暇つぶし自叙伝、すっかり止まっていましたがリクエストを頂戴したので(止まっていたことも気にはなっていたので)重い腰を上げて第5章です。第4章はこちら。
今回はB'zのお話。そうそう、非常に思い入れの強いB'zのことを書かなきゃいけないから億劫だったんだと思い出しました。ここからようやく趣味の親離れが始まっていきます。
中学2年生、B'zに出会う
中学時代は吹奏楽以外にも大きなものをもたらした。B'zとの出会いである。先に説明しておくが最もわたしの血肉となった音楽はB'zだ。今や日常的に聴くことはほとんどないのだが、わたしにとってのB'zという存在を端的にあらわすならば「白米と味噌汁」である。いまさら好きとか嫌いとか、そんなものは超越した存在なのだ(現在わたしは圧倒的パン食なのでその点でもこの喩えは当てはまる)。
B'zといえばとにかく「CDが売れたグループ」として認識されているはずだが、ヒットチャートの音楽にあまり触れず育ってきたわたしの視界にも金色や銀色のパッケージは確かに映り込んでいた。今から思うと、教室であの金色や銀色が飛び交っていた光景というのは、じつにいにしえである。いい時代に生きていた。
言わずもがなのベストアルバム『金・銀』が爆売れしたのは1998年。この頃はまだぎりぎり小学生だったはずで、実際わたしがB'zの音楽に啓示を受けたのはもう少しあと、2001年の頃だった。ファンの人ならこれだけでピンときて、次いで「マジ?」と思うかもしれない。いかにも、わたしは『ultra soul』で雷に撃たれた人間なのである。
- アーティスト:B’z
- 発売日: 2001/03/14
- メディア: CD
自分でも当時の衝撃はもはや思い出せないのだが、これまでカシオペアのようなエレキギター中心のインストゥルメンタルか、あるいは比較的古風な音楽性を持つPUFFYや森高千里などしか聴いてこなかった身にとっては、こんなにもギンギンのリードギターが主張する音楽にヒットチャート上位で出会えるなんて思ってもいなかったのだ。
ちょっと笑えるエピソードがある。CDは中古で探して買うもの、と思い込んでいたわたしと父は、車で小一時間かかるようなレンタル屋まで慌てて飛んでゆき、よかったまだあった……と『ultra soul』のレンタル落ちマキシシングルを手に安堵した。これがマイファーストB'zのCD、となるわけだが、教えてやりたい。B'zっていうグループのCDはすげえ売れてるからどこにでもあるよ、と。
さて幸か不幸か、吹奏楽部の後輩に大のB'zファンがいた。彼の指南により、すっかり時代から取り残されていたこの先輩はめきめきと育った。中古購入スタンスは相変わらずなので、ブックオフやハードオフへ通い詰めて手に入るものから買い集めていった。ここでも運命的チョイスが発動する。最初に買ったアルバムは以下の2作なのだが、ファンの方ならやはり「マジ?」と思うだろう。
早い話が「激シブ」なのである。パッと見でB'zの作品と思えないジャケット2選だし、『Friends II』の裸体は中2男子に刺激が強かった。さておき、このチョイスがなぜ運命的なのかというと、この2作を聴いてわたしは感動したのだ。「B'zって、アルバムごとにギターのインスト曲が1曲入っているんだ!」と。
そう、確かにこの2作には『Strings of My Soul』『sasanqua〜冬の陽』というギターインストゥルメンタルのナンバーがそれぞれ収録されている。しかしながらこういったインスト曲が入ったB'zのアルバムというのは、後にも先にもじつはこの2作だけなのだ。運命的にわたしはこの2作を引き当て、こんな最高のアーティストがヒットチャート上位にいることをどうして誰も教えてくれなかったのかと鼓動を熱くした。
もう一度書いておくと、この2作はB'zの全キャリアの中でもダントツの「激シブ」だ。詳しい説明はしないが、リアルタイムで追ってきたファンであれば、この『The 7th Blues』や『Friends II』に心酔する気持ちと『ultra soul』に心酔する気持ちは共存させられないかもしれない。しかしそれを何の抵抗もなくやってのけていたのが、2001年の幸運なわたしだったのである。
次章、B'zでライブデビューした話など。