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気まぐれ自叙伝 わたしの音楽遍歴【第2章:初めてのCD、奇跡的な再会】

何者でもない「わたし」の音楽遍歴をたどる暇つぶし自叙伝、第2章です。第1章はこちら。

今回は初めて買ってもらったCDと、わたしを“めばえ”させたバンド「カシオペア」のお話。

春よ、来い

はっきりした記憶はないが、おそらくは1995年頃、初めて自分用にCDを買ってもらった。松任谷由実の「春よ、来い」である。

朝の連続テレビ小説『春よ、来い(1994年10月から翌年9月まで放送)』の主題歌だったこの曲。のちに朝ドラ視聴が習慣づく我が家だが、この頃はまだ観ていなかったように思う。なぜ当時のわたしがこの曲を気に入り、買ってもらうに至ったのかは不明だ。

小学校の教室にはオルガンがあり、ピアノが上手い清水さんというクラスの女子と競うように同曲を弾き合っていた記憶がある。わたしはピアノ教師の親を持って生まれたくせに真面目に習ったことはなく楽譜も苦手、しかし耳で聴いてそれっぽく弾くことは得意だった。対する“清水さん”はしっかり習って譜面も読める人で、対照的な存在にお互いなんとなくライバル心を持っていたのかもしれない。

あの日から四半世紀ほどが経ち、ふと思い立って先日この曲をアレンジしてみた。ちょっと感慨深くなった。

ちなみに「初めて買ってもらった」のは確かだが、新品ではない。父は中古CD漁りが趣味で足しげくディスクユニオンに通い、東日本大震災の14時46分にもディスクユニオンの店内にいた。そんな父が息子に初めて買い与えるCDは、言うまでもなく中古だ。その影響を受けた息子は、社会人になるまで同じく中古漁りを趣味とした。

カシオペア熱、再燃

小学生頃のわたしは、1983年リリースのアルバム『Photographs』を繰り返し聴いていただけで、カシオペアのファンだという意識はなかった。というかその頃はまだそういう能動的な聴き方はしていなかったのだと思う。

何かと父の話になってしまうのが不本意で仕方ないが、父は旅好きでもあった。テレビで水曜なんかにやっている旅番組をよく観ていた。そのなかに小松政夫若い女性が列車旅をする『おもしろ列車の旅』というタイトルの番組があり、これはなぜかビデオに録られ、我が家の定番コンテンツとしてことあるごとにリビングで再生されていた。

カシオペアをはじめとするフュージョンバンド(インストゥルメンタルバンド)の楽曲はテレビで使われやすい。この番組においても、確か新型特急か何かのお目見えシーンでバキッと格好良いフュージョン系の曲が流れており、わたしや父のお気に入りとなった。

あるとき父に付き添ってディスクユニオンへ行った母は、「これカシオペアじゃない?」と父をつついて1枚のCDを買ってきた。前述のとおり当時我が家には『Photographs』しかカシオペアの音源がなく、「あの子がよく聴いてたカシオペアってバンドのじゃない? 懐かしいわね」くらいの感覚で母はその1枚を手に取ったのであろう。しかしこの何気ない行動が息子にとって大きな意味を持つことになる。母はたまにそういうことをする。

あの衝撃は忘れない。帰宅した親から『FULL COLORS』というアルバムを手渡され、父の部屋のステレオにかけた。父は結構いいステレオ環境を構築していたので、タイトな大音量で1曲目が再生された。家族全員がたまげた。それはあの『おもしろ列車の旅』で使われていた「バキッと格好良いフュージョン系の曲」だったのだ。名曲「FIGHT MAN」との出会い、もとい再会である。

FULL COLORS

FULL COLORS

  • アーティスト:CASIOPEA
  • 発売日: 2006/07/26
  • メディア: CD

(配信もサブスクもないことに驚いている。超のつく代表曲なのでライブ音源は多数存在しているが、タイトなサウンドはスタジオ盤でしか味わえないためやむなくYouTubeを貼っておく)

これは1991年リリースのアルバムで、じつは慣れ親しんだ『Photographs』の頃とメンバー(リズム隊)が違った。サウンドも全く違った。しかし格好良いことには変わりがない。なるほど琴線に触れるわけだね、と家族全員おおいに納得した。結果的にこの『FULL COLORS』は、『Photographs』に次ぐ勢いで盤面を擦り減らすこととなった。

カシオペアが好き」ということに気付いてしまったわたしは、この日を境にカシオペアの中古CDを買い漁り始める。正確には、親の買い物かごに忍ばせ始める。性のめばえならぬ、音楽オタクのめばえである。中古屋の棚で「カジヒデキ」や「カスケード」にぬか喜びさせられたことが幾度あったろう。全くの冤罪だが、両名には未だちょっと負のイメージがある。

カシオペアについては書き始めると本当にきりがないので、とりあえずこのへんにしておく。のちに様々なアーティストのライブへ行くようになるわたしだが、カシオペアだけは一度も足を運んでいない。それだけ神聖な存在だったのだ。

次章へ続く。