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主に映画の感想文を書いています

「グッドライアー 偽りのゲーム(2019)」雑感

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イアン・マッケランヘレン・ミレンのW主演、『グッドライアー 偽りのゲーム』を観ました。『シカゴ(2002)』『グレイテスト・ショーマン(2017)』等で脚本を、『ドリームガールズ(2006)』『美女と野獣(2017)』等で監督を務めたビル・コンドンの作品です。

美女と野獣、まだブログ書いてない頃だったのか。ドリームガールズは奇しくも今日これから舞台を観に行きます(笑)

※サスペンスです。ネタバレ含みますのでご注意ください。

あらすじ

マッチングサービスで出会った老年の男女。その正体はベテラン詐欺師のロイイアン・マッケランと、資産家の未亡人ベティヘレン・ミレン。老いてなお魅力的なベティと共に過ごすことで本当の愛が芽生えそうになりながらも、資産総取りの作戦を予定通り実行するロイだったが──

雑感

予告編がすごく惹かれるものだったので真っ先に観てきました。傘で地下鉄の防犯カメラをクイッと押し上げるイアン・マッケラン、憎悪に満ちた表情を見せるヘレン・ミレン、老人同士の騙し合い、これは面白そう。いい予告編でした。

うん、今見てもめっちゃ面白そう。

結論から言うと、期待してたのとは違う方向に行ってしまったかなという感じの作品でした。コンゲームたるもの、できればスカッと終わって欲しいものですが本作はまさかの胸糞エンド。いや、起こっていること自体は正義の鉄槌、でも観てる側が置いていかれて気持ちのやり場がないまま終了、みたいな印象を受けました。

予告を観ると、大前提でイアン・マッケランは詐欺師であると。しかし対するヘレン・ミレンのほうがじつは一枚上手だったのよ、そんな作品を想像するし、実際そうなんですが。にしても、ヘレン・ミレン側の手札が最後の最後まであまりにも伏せられたままなので、伏線回収というよりは全部後出しにしか見えないよ!と鈍いわたしは思ってしまったのでした。

身も蓋もないことを言ってしまうと、種明かしされてからの話が重い。というか、あのタイミングで明かされるには、重い。復讐劇なのだからやはり観客としては復讐する側に感情移入したいところ、あの残り時間でいきなり「復讐でした〜」ってされちゃうと、むしろ映画のつくり的にイアン・マッケランのほうに感情移入しちゃってたよ!ってなって、彼の変わり果てた姿が可哀想だし、なんなら全然悪くないヘレン・ミレンが悪人のように見えてしまうという謎の後味の悪さ。

個人的に一番の興奮ポイントとしてタランティーノ監督のイングロリアス・バスターズ(2009)が劇中序盤に登場します。本作の時代設定が2009年で、映画館で観ているというシーン。後から思うとこの映画が壮大なる伏線というか、「そういうことです」と説明してはいるんですよね。タランティーノじゃん!!!ってとこに興奮しちゃってそこまで考えられなかったんですけど(笑)

イングロリアス・バスターズ』という映画はざっくりいうと「『あの時の少女』が長い時を経て復讐する」みたいなお話。で、それは本作でのヘレン・ミレンの背景と重なるものです(時代背景も含めて)。仮にこの劇中映画のシーンでその「背景」を察せたとする。でもやはり、実際の描写が終盤までおあずけなのはもったいないなと思うんですよね。『イングロリアス〜』がとびきり面白いのはまず最初に「その少女に何があったか」を見せてから時代を進めるからで、本作でも、まあサスペンスですし全部は見せられないにしても、もう少しヘレン・ミレン側の背景をわかりやすく小出しにしてくれたらよかったんじゃないかなあと、あくまで鈍いわたしは思いました。

ちなみに今、WEB版予告というのを初めて見たんですが、こちらはヘレン・ミレン視点、「悪女」として編集された予告編。予告は作りよう。こっちを見たうえで観ていたらまた印象は違ったかもしれません。

ここまで出しちゃっていいのかなとも思いますが。

あと全く別の話で、重要なアイテムとなる「キーパッド」。これって、実際にこういうもの使うんですかね。よく知らないので実際に使うのであればごめんなさいですが、印象としてはリアリティを損なうガジェットだなと。パスワードの設定とかそんなことでいいの?!とか思っちゃいましたし。キーパッドが出てくるたびに気持ちが逸れてしまってアレでした。ていうかさ、やっぱ、「ずっとそこにあったのよ」とか知らんがな!初耳すぎるわ!……って気がしてならないんですが鈍いだけなんでしょうか(笑)

よかったところの話をしよう! 予告編でアガった地下鉄のシーンは期待通りよかった、けど想像以上にエグかった(全体的に、わりと)。イアン・マッケランの紳士な老人っぷり、非常に素敵でした。素敵すぎていくら悪人だろうとすっかり感情移入してしまったのが敗因。

ヘレン・ミレンもめちゃくちゃお綺麗でした。恋愛が成立して当然と思える、騙し合いではなくラブストーリーでも全然見たいなと思えるカップルでした。ただ、ラストシーンで髪型変えたのはなんでだろう。戦闘態勢を解除したのかな。一気に老けて見えた気がする。「ゲーム中」の髪型が好きです。

そんな感じの『グッドライアー』雑感でございました。

(2020年22本目/劇場鑑賞)