353log

主に映画の感想文を書いています

「アナと雪の女王2(2019)」雑感

f:id:threefivethree:20191219211651j:plain

『アナ雪』旋風が巻き起こった2013年、わたしは結局観ませんでした。しばらく経ってから一度さらっと観た程度で、足しげく映画館へ通う習慣がついた今でも『アナ雪2』はスルーしそうだなと思っていました。

が、そういうの良くない! エンタテインメント全般に偏見なく接していきたい、を座右の銘にしている*1じゃないか! ということで前作を復習してからの『2』行ってまいりました。行ってよかった。めちゃくちゃよかった。

あらすじは割愛。言わずもがな『アナと雪の女王(2013)』の続編。前作から3年後の世界を描いています。

アナと雪の女王 (字幕版)

アナと雪の女王 (字幕版)

  • 発売日: 2014/07/09
  • メディア: Prime Video
それでは、よかったところを山ほど書いていきましょう。

よかったところ:物語

一番よかったなと思ったのは、アナとエルサの間に誤解やすれ違いがないこと。前作でも絆はありましたが信頼関係はまだ脆く、主にもどかしい状態でのストーリー展開でした。わたし、単純にそういうのが苦手。よって今回の「うるせー今度こそ一人にさせねーからな! byアナ」的な、先刻御承知な展開はとても安心でした。

また前作では終盤でかなり強引な展開がありました。知った上で観てもやはり伏線をちっとも感じられないという、薬でも盛られたんじゃないかというあの展開。雑な脚本と言われても仕方ないレベルです。その点今回は、個人的には引っかかるところのない脚本で(やや尻すぼみではありましたが)とても好みでした。世相の反映も前作よりだいぶ自然だったなと感じました。というより、この6年で自分の意識も世の中もだいぶ変わったのでしょう。

それから…とんでもないギャグ映画でもありました(笑) このへんはのちほど、オラフのあたりで。

よかったところ:音楽

前作のように誰もが口ずさめるような楽曲は少なく、キャッチーではあるけれどポップとまではいかない、くらいの曲たちが集まっている印象です。が、「レット・イット・ゴー」の突き抜けたポップさがあまり好きではなかったわたしの場合、むしろ前作よりも好きな曲揃いでした。

今作における「レット・イット・ゴー」ポジションの曲「イントゥ・ジ・アンノウン」、イディナ・メンゼルのハイトーンが突き抜けるいかにもな曲ですが、じつはこの曲を映画館の予告で聴いたことが「スルーしない」きっかけに。テレビCMなどで耳にしていたときは高音しか聞こえていなかったところ、映画館の音響で聴くと全然印象が違ったんですよね。重心を低く、一歩一歩踏み締めていくようなビート。こういう曲だったのか、これなら聴きたい。そんな理由で、めでたく映画館へ行くことになったのです。

良曲揃いのなか特に印象に残ったのは、まず序盤で登場する「魔法の川の子守歌」。しっとりとして民族色の強いこの曲を聴き、これは好きな映画かもしれないぞという予感がしました。それからクリストフのどうでもいい曲「恋の迷い子」。ギターの仰々しいチョーキングが入ってきた時点で笑ってしまったため、もはやクリストフのお人柄と言えましょう。2019年時点のネットスラングであらわすならば「草」って感じの曲でした。好き。


よかったところ:映像

本作を象徴する雪や氷や水といった自然物から、主にアナとエルサの衣装の生地まで、質感表現が本当にすごいなと感動しました。うっとりしてしまいます。あれほどのクオリティで、かつ完璧な構図やライティングを作り出せるCGアニメというのは末恐ろしいですね。まさに「超実写版」。

前作からとても印象的なのが、雪景色なのに暖かい光源が多用されているということ。前作は冒頭部がまさにその極みのような映像でしたし、今作では光源のみならず紅葉も見ごろという。アレンデールの紅葉は今が見ごろなのでお早めに劇場へ。

よかったところ:キャラクター

アナ

最初の衣装(溶けない雪はどう?とオラフに話しかけているあたりから)が最高に可愛くて!! もう満足!はい満足!って感じでした。こう言うと変態っぽいけど生地の質感がめっちゃ良くて(変態だな)、あのアナ、最強説。

前作にも増して存在感が「無」なクリストフさんのプロポーズをそうとは知らずに玉砕させまくるのもよかったですねえ。「はぁ?!」っていうね。クリストフといえばめかしこんでみたラストシーンで「いつもの方が好き」ってアナに髪ぐしゃっとされるのも、最ッッ高でした。わかってんねアナ! わしもそう思うぞ!

ちなみにわたし、どちらかと問われればアナ派です。アスカとレイならアスカ派、っていうやつです。天真爛漫、大好き。

エルサ

今回のエルサはただただ格好良い。「ヒロイン」という言葉だけでも物議を醸しかねないこの時代を象徴するヒロインと言えます。今の子供たちはごく普通にあのエルサに憧れて育つのでしょうね。

前作よりパワーアップしたと特に感じたのは、技の繰り出し方! スロープみたいなやつを造るお得意のやつがありますけど、あれがすげえ格好良くなっててシビれました。おまけに「馬」ですよ。あれはチート級。地平線の向こうから馬に乗ったエルサが現れたとき、全力でときめいてしまいましたよ。

肩の荷が下りたラストの選択もよかったですし、かつての記憶に触れるシーンで黒歴史“レリゴー”に苦い顔をするエルサや、妹の元カレを破壊するエルサも好きです。

オラフ

前作にも増して最高にキモカワ。シュールなギャグセンスに磨きがかかりまくり。サマンサで死ぬかと思った。アナは無能。

今回オラフが最も「やってくれた」のは例のダイジェストコーナーでしょうね。ブラックすぎんでしょ。しかもそれがウケると予測したうえでポストクレジットにも仕込んでおくディズニーのセンスですよ。もちろん、わたしが観た時はこのダイジェストコーナーで客席どっかんどっかんでした。息できないくらい笑った。

そうそう、ちょっと感動したことがありまして。未就学児くらいの子(おそらく日本人ではない)が劇場内にいたんですけど、オラフの古き良きミュージカルナンバーみたいなコーナーだったかでそりゃもう楽しそうにケラケラと笑ってたんですよ。場内の空気まるごと緩んで、天国だったんですよ。ブラックジョークのみならず、ちゃんと正攻法で子供も笑わせられるオラフ=ディズニーすっごいなあ。

というわけで、映画が終わって、シンデレラ城にキラキラがまぶされて、やっぱりディズニーは未だ別格だよと心から思いました。あまりにも総合的な後味が良かったので、映画館で映画を観るのこれが最後でもいいやなんて思ったくらい。伊達じゃないのです、ディズニーの魔法。

はみ出し感想

  • この日は映画館で『ジュマンジネクスト・レベル』『ゾンビランド:ダブルタップ』からの本作という胸焼け必至なハシゴ。思い返してみると意外な共通点がありました。

  • どちらも観た方は分かると思いますが、ジュマンジとの意外な共通点は「馬」と「留まる」。ゾンビランドとの共通点は「なかなか受け取ってもらえない指輪=プロポーズ」。馬のほうは結構、奇遇じゃありません?笑

  • ダムが出てきた時点でパッと思い浮かんだのは『X-MEN』旧三部作。よくよく考えてみるとアナ雪ってかなりX-MENなお話だし、前作での銀髪混じりなアナはX-MENのローグそのままじゃん、とか。わたしは『X-MEN』的な物語に弱いみたいです。

  • アナの後半の黒い衣装はあんまりアナっぽくないなと。和製RPG感があるというか、和製CGアニメの感じがあそこだけあるというか。可愛いけど。そういや火の妖精もポケモンみたいでしたし(笑)

  • 前作よりも男の存在が無なのすごくいいと思うんですが、特にいいと思ったのは「落ちそうになったアナの腕を掴むのがクリストフじゃなくて中尉(続いてクリストフ)」ってとこですね。そうだよね、クリストフはそんなかっこいいヒーローじゃないもの。でもアナのことは幸せにしてくれるって信じてるから!

そんなこんなの『アナ雪2』でございました。観れてよかった、観てよかった本当に。時間が合えばもう一度くらい観に行ってもいいなあ、むしろ行きたいなあと思っております。

(2019年152本目/劇場鑑賞)

Frozen 2: The Songs (Various Artists)

Frozen 2: The Songs (Various Artists)

  • アーティスト:Various Artists
  • 出版社/メーカー: Walt Disney Records
  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: CD

*1:Twitterのプロフィール欄に書いてるだけ。