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主に映画の感想文を書いています

「屍人荘の殺人(2019)」ネタバレ雑感

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今村昌弘による同名小説の映画化。これはですね、内容がどうであろうと浜辺美波さんを見るために行こうと決めていたので、『ジュマンジ』差し置いて初日に観てきました。

犯人名を書いたりはしていませんが、予告に出てこない設定等ある程度のネタバレは含みます。ご注意ください。

あらすじ

たった二人の神紅大学ミステリー愛好会、明智中村倫也と葉村神木隆之介のもとに、謎の美少女 剣崎比留子浜辺美波が調査依頼を持ちかける。「フェス研」ことロックフェス研究会の合宿に殺害予告が出され、また去年もその合宿では行方不明者が出ているというのだ。

「謎の脅迫状、湖畔のペンション、行方知れずの女子部員。興味のあるお話では?」。自称“ワトソン”の明智が乗らないはずはなく、三人は合宿のおこなわれる「紫湛荘」へと向かった。

浜辺美波さん可愛い

大前提です。お話的に物申したいところは多々あるが、そんなことはどうでもいい。浜辺美波さん可愛い。滑舌悪いけど許す。

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殺されてもいい

かねてから言っているように、たとえば花盛りのオードリー・ヘプバーンをリアルタイムに見れなかったわたしは、今の世代の特権として浜辺美波だったり広瀬すずだったり小松菜奈だったりの最高に可愛い姿をスクリーンでリアルタイムに拝まなければならないのです。kawaiiという正義を見届けねばならないのです。

というわけで、制作スタッフたちも「浜辺美波史上最も可愛い姿を収められたと思う」と誇る浜辺美波さん19歳(まじかよ)、最高に可愛いです。ぜひ劇場でご堪能ください。終わり。

と言いたいところですが蛇足が続きます。

苦言は慎重に(自戒)

本作、浜辺美波さん(と神木きゅん)の可愛さだけではカバーしきれない「どうなの」ポイントが結構あったので無責任に書き出していこうと思っていましたが、念のためインタビュー等をチェックしてみたところ結構すっきりする点もあったので、それを含めていくつか。

参考にしたのは原作者今村昌弘さんのロングインタビュー。なんと本作がデビュー作という今村さん。ミステリー執筆は初めてでありながら、タイトルにもあるように「100冊読んで」研究し、かなり計算的に物語を創っていかれたようで、とても興味深い記事でした。 ちょいと脱線。先日書いた『ラスト・クリスマス』の感想記事で、何も調べず、インタビューも何も読まずただ一回観た感想だけを(苦言めいたことも含め)書いたのですが、あの映画がワム!の同名曲をベースにしたものであることをはじめ、苦言とはいえもう少し調べてから書いたほうがよかったなあとやや後悔していました。その自戒を込めて今回は多少そのようにしました。

もちろん、映画単品で観たときの第一印象は自分にとっての純粋な感想なので大事にしたいし、いろいろ調べたうえで「なるほどね〜」と腑に落ちたとしてもいや映画単品ではそこまで伝わってこなかったよ、みたいなところは問題点として変わりないと思いますが、腑に落ちれるなら腑に落ちれたほうが幸せなので(笑)

前置きが長くなりました。上記インタビューを読んで晴れたところを数点挙げてみます。

モヤッとポイント①「ゾンビ is 何」
予告で明かされていなかった要素として、密室殺人ものの外側にゾンビがいるという驚きの事態があります。結局このゾンビ騒ぎ自体は一体なんだったのか解決しないままで、わりとモヤッとします。

これに関して原作者今村さんは、まず「パニックホラーの中で更に事件が起きる」というありそうでなかった展開を作りたかったということでした。なるほど。

そして解決しないゾンビ騒ぎについては、上記の記事内でこのように述べておられます。

いかにも次に繋がりそうな雰囲気で終わるというのが読み心地として好きだったというのが第一にあります。次に、屍人荘のあの天災のような特殊な出来事に関して曖昧なまま終わらせたのは、犯人や探偵がそこに巻き込まれた上で互いにフェアに闘う部分が面白いのだから、その外枠については、たとえば「その後台風がおさまってこうなりました」というところまで書かなくていいだろう、という判断でした。

なるほど、あれは台風だったのか。大雪で密室になる、みたいな王道の展開の不可抗力部分をゾンビに変えたということなんですね。確かに劇中でも犯人はこの「不可抗力」を犯行に利用しようと急遽考え付くわけで、なるほどなるほど〜。なお原作も試し読みで冒頭のみ読んでみましたが、原作ではゾンビ計画に携わったと思われる秘密機関が登場していました。

ちなみにそう、いかにも繋がりそうな雰囲気で終わるわけですけど、小説のほうだと『魔眼の匣の殺人』という作品が続編的扱いになっているようです。ゾンビ騒ぎの件も続きがあるのかも。

モヤッとポイント②「レントゲン」
レーティングに関わるのかなんなのか、劇中でゾンビを殺す際は例外なく「レントゲン的ビジュアル」になります。それがあまりにも最後まで続くもんで(あの人のところくらいは重いタッチにしてあげなよ…とか)工夫がないなあと思っていました。その気持ちは変わらないのですが、レントゲンという表現についておもしろいことが判明しました。

ずばり「原作者の今村さんはレントゲン技師だった」。これ、おわー!って声あげちゃいました、インタビュー読みながら。映画独自の演出であることは間違いないはずなので、その背景から着想したものなのだと思います。あまりにも「おわー!」だったのでこの件は全てクリアです(笑) わたしは単純です。

モヤッとしっぱなしだった点もいくつか。

まず、命が軽い!浜辺美波さん可愛い」と同じくらい印象に残るのがこれです(笑) いやめっちゃ死ぬやん、しかも誰ひとり泣かないやん。うける。ラストの彼も、あれだけ引っ張ってあれはかわいそすぎる。後ろの女の子たちが悲しんでましたもん。続編で「再生」してくれないかな!

そのくせ、犯人のエピソードだけ重いのも気になるところ。そこまでの「命が軽い」テイストを打ち破っていきなりあの重い動機を出されてしまうと、その後の展開に納得できない…。せめて逮捕でしょ…。ミステリーの定石なのかもしれませんが、今の時代ではその定石、考え直したほうがいいのかもしれません。

そういえば原作ではフェス研じゃなくて映画研なので、だいぶ序盤の展開が違うと思われるのですが(そこまでは読めてない)、犯人絡みも結構違うんでしょうか。本当は脚色具合もちゃんとチェックしないといけないところだけど…今回は割愛。

あの状況で何日間も陸の孤島になってるというのもなかなか理解不能でした。なにより3日間くらい着替えてなくて(風呂はあるはずなんだけど入ってる描写がない)あの美貌を保っている浜辺美波さんが理解不能です。好き。

話は逸れますが、劇中ずっと1パターンの衣装で通すタイプの映画、好きです。事件に巻き込まれて着替えられないケース、そもそもたった一日の出来事を描いているケース、結構ありますよね。パッと思いついたのだと前者は『ジュラシック・ワールド(2015)』のブライス・ダラス・ハワードとか、後者は先日観た『ビフォア・サンライズ(1995)』とか。満を持してスタイスト超厳選な一着を着てるわけですからね、可愛いんですよ。本作も例に漏れずです(超kawaii)。

あとは、エンドロールのPerfume。こういう映画にはすごく合うし、曲もとてもいいんですけど、肝心のエンドロールが黒地に白字というそんな渋いものでいいのかと、『ちはやふる』シリーズなどと比較してつい思ってしまいます。せっかくPerfumeなんだったらあれくらい華やかなエンドロールにしてもよかった気がする。まあ、ミステリーだしと言われればそれも納得なんですが。

対して、忘れた頃にタイトルがどーんと出てくるのは良かったです。アバンタイトルのある映画って好き。ペンション館内の案内をしていくゲーム的な序盤の見せ方もワクワクしました。そういえばミステリー視点からの感想を一切書いていない(笑) 江戸川乱歩を読み漁るような子供だったわりにミステリーは疎いです(なんでだろうな…)。

そんなわけで以上、『屍人荘の殺人』雑感でございました。再度のご案内となりますが、最強に可愛い浜辺美波さんをぜひ劇場でご覧ください。「浜辺美波」という完璧なお名前が本名だったことにも驚きです。ご両親天才。

(2019年147本目/劇場鑑賞)

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

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魔眼の匣の殺人

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