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細野晴臣デビュー50周年記念ドキュメンタリー映画「NO SMOKING(2019)」激推し雑感

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細野晴臣さんの音楽活動50周年を記念したドキュメンタリー映画「NO SMOKING」、鑑賞してまいりました。とてもとても良かったので全ての音楽好きな方におすすめしたいのですが、一応そもそものところから。

細野晴臣(ほその はるおみ)さんとは

伝説的なバンドはっぴいえんど、国民的とも言えるテクノバンドイエロー・マジック・オーケストラYMO)」などで一斉を風靡したのち、72歳となられた2019年現在なお国内外で精力的に活動されているミュージシャンズ・ミュージシャン。

近年では星野源さんが熱烈な信奉っぷりをオープンにしているため、若年層への認知度もかつてより高まっていると思われます。ちなみに映画もお好きで、2017年には「映画を聴きましょう」という映画&映画音楽のエッセイを出版されています。

知らなくても観てほしい

やっぱりドキュメントってそもそも「知る」ためのものですから、普通に音楽が好きな方であれば、たとえ細野晴臣という名前を知らなくても、どなたでも楽しめる作品になっていると思います。

まずナレーションが星野源というところで間口は広くなっているのですが、晴臣さんの半生を追っていくなかで次々と「知ってる名前」が出てきて(錚々たる顔ぶれ…)、ミュージシャンというカテゴリーではない意外な芸能人も複数登場しますので、何かしら自分との接点は見つかるはず。

晴臣さんご本人の魅力に惹きつけられてしまうことも請け合いです。わたしはYMOのライブ映像くらいでしか動く晴臣さんを見ていなかったので、こんなにユーモラスな方だったんだと驚きました。若い頃も今も、素敵。

そして何より、あらためて細野晴臣というミュージシャンが日本音楽界にもたらしたものの大きさを圧倒的に感じることができる映画です。ドキュメンタリーだし「さらっ」と観れるかな、なんて思ってたらいい意味で裏切られるでしょう。

ちなみにわたしの細野晴臣レベルについて参考程度に書いておくと、中学生前後くらいの頃にYMOにハマった時期があっただけで、そこから今に至るまでほとんど空白でした。それこそ星野源がなんかやたら晴臣さんを推してるぞ、ってところで再浮上してきた感じ。なので実際のところはほとんど知らない、ほぼ全てが初耳。それでも打ち震えるほど楽しめた、という一本です。

「これになりたい」

観ていて、もうとにかく晴臣さんの音楽人生がほんとうに素晴らしいなと。「これになりたい」って、ずっと思ってました。音楽っていいなあと久しぶりに心から思いました。図らずもYMOが舞台上に再集結してしまった或るライブの光景とか、涙出てきちゃいましたもん。

YMOに至るまでも、とんでもなく濃くて。これだけ活動しまくって、まだYMOが生まれてないのかよと。この後にYMOまで作るって、どんだけだよと。いざYMOが生まれても(満を持して流れる「テクノポリス」の格好良さよ!)、じつはわたしが生まれる前にYMO一度解散してるんですよね。「人生とは……」みたいなことまで考えてしまいました。30そこそこで人生諦めかけてんの、いかんなと猛省。晴臣さんみたいな70歳になりたい。

NO SMOKING

タイトルになっている「NO SMOKING」。見たまんま「禁煙」ってことですが、晴臣さんはいつでもぷかぷか吸ってます。煙がくゆってないと創作活動に差し障りがあるご様子。その姿は「NO SMOKING, NO LIFE」「NO SMOKING, NO MUSIC」に見えました。

あれだけおいしそうに吸ってる姿を見てしまうと取り上げるわけにもいかないわなという感じで、それ以外の部分でご自愛いただいていつまでもお元気に、と願うばかりです。

というわけで、ものすごく、本当にものすごく素晴らしいドキュメント作品でした。公開規模の小ささが大変もどかしいのですがぜひ多くの方に観ていただけたらと思います!

(2019年129本目/劇場鑑賞)


「映画を聴きましょう」

映画を聴きましょう

映画を聴きましょう

前述した晴臣さんの映画エッセイ集「映画を聴きましょう」。こちらも、とてもおもしろくおすすめの一冊。ホラー映画が苦手、という晴臣さんのトンデモ習慣エピソードが大好きです。今日観てきた立川シネマシティではパンフレット等と一緒に売られていましたので、行かれる方はぜひ。