直近に観た「人生万歳!」と*1、ヒット作「ミッドナイト・イン・パリ」との間にあるウディ・アレン作品。どちらも後味がよく着地の明るい映画で油断していたところに、安定の「うわぁ…」を挟んでくるウディ・アレン、さすがです。そう、だいぶ後味の悪い映画です(笑)
あらすじと雑感
サリー(ナオミ・ワッツ)には悩みが多かった。「甲斐性なしの作家」という考えうる限り最低のステータスを持った夫(ジョシュ・ブローリン)、熟年離婚して若い女優と再婚した父(アンソニー・ホプキンス)、離婚のショックで占い師にどっぷり浸かった母(ジェマ・ジョーンズ)。
しまいに夫は隣家の美女と不倫、父は新妻に搾り取られて借金まみれ、母はもはや来世しか見ていない。そんな家族に振り回され、彼女の人生設計はめちゃくちゃだった。仕方なく自分の仕事に打ち込むサリーだったが、上司との間にロマンスを感じ始め……
問題だらけの一家を俯瞰した、いかんともしがたい映画。いわゆる「ウディ・アレン映画の主人公っぽい男」が登場しないので、感情のやり場がないというか、コメディになりきらないというか、苦い顔をしながら観る以外ないというか。ナオミ・ワッツの可愛さだけが救い。
とはいえ致命的にどうしようもない状況というわけでもなく、ヌルいなあと思いながら眺めていると、あるところでピリッとした出来事が生じて…。ウディ・アレンの映画ってそういうところがあるんですよね。「いつもの絵柄」だからと油断してると突然「えっ」なことが起きる。温泉まんじゅう食べてたらワサビが入ってた的な。
(ちなみにわたしが思った最初の「えっ」は、「えっ、そのイヤリング」のシーンでした)(ピアスかも)
で、うわうわうわ、と嫌〜〜な感じになって、お母さんがニコッと放つ一言「来世があるわ」に絶望。なんっちゅう映画だ!と。しかもそんなお母さんが一番しれっと現世で幸せ掴んでるっていう。玄人向けシニカル・コメディでした。
師匠に頼ろう
この映画はですね、ライムスター宇多丸さんの評が面白いです!
宇多丸チルドレンなもんで、この音源は鑑賞前に2回くらい聴いていまして(笑) それでも鑑賞後にあらためて(3回目)聴き直したらやっぱりすごく面白くて。こんな「うわぁ…」な映画をよくここまでハイテンションでレビューできるな!という、いつにも増して小気味良い回となっております。ぜひ併せてどうぞ。この苦味、美味なり。
(2019年117本目)
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*1:二週間前くらいに観て一週間前くらいに下書きしたまま寝かせてた記事です(笑)