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主に映画の感想文を書いています

伊仏日、最近観た映画まとめて雑感(2019.10)

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トリコロール/青の愛」より

溜まってきたので一気に書きます。「続・荒野の用心棒(1966/イタリア)」「トリコロール/青の愛(1993/フランス)」「空気人形(2009/日本)の3本です。ひどい詰め合わせ(笑)

続・荒野の用心棒(1966)

原題「DJANGO」。そう、タランティーノ作品ジャンゴ 繋がれざる者の元になった“ジャンゴ”でございます。監督はセルジオ・コルブッチ。同じくタランティーノ作品「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でディカプリオ演じる落ち目の俳優が出演したマカロニ・ウェスタンの監督でございます。

なおイーストウッド主演の1964年作品「荒野の用心棒」とは無関係。監督もレオーネとコルブッチで大変まぎらわしゅうございます。

見どころとしては、「ジャンゴ 繋がれざる者」と同じ曲・同じ雰囲気のタイトル・シークエンス。重そうな棺桶を引きずって歩いてるイーストウッドもどきのジャンゴ(演じるフランコ・ネロタランティーノのほうにもカメオ出演してます)。その棺桶からおもむろに取り出されるガトリング砲(笑)

タランティーノに模倣品を見せられているおかげか、あーなんかこの感じ、見たことある〜知ってる〜!という既視感にあふれた一本でございました。タランティーノが作る疑似体験映画はクオリティが高いってことですね。

(2019年119本目)

トリコロール/青の愛(1993)

是枝監督の「真実」ジュリエット・ビノシュに目覚めていたところにおすすめしてもらった作品。事故で家族を亡くし虚無に支配されてしまったビノシュが過去を受け入れて解放されるまでを描いた物語で、ポンヌフの恋人と同じ頃のですけど、こちらは強くて美しいビノシュが見れます。

「作曲家の夫が未完成で遺した交響曲」が付きまとってくる演出は、ちょっとギャグっぽくもあるけど斬新。音符とリンクして音が鳴ったり、作・編曲の過程でビノシュの指示が次々と音に反映されていったりと(今なら「アレクサ、金管削って」な感じ)、なかなか凝ってます。

ふうっと目を閉じてまた見開くような、フェードアウトしてまた同じところにインしてくる編集も好き。ジュリエット・ビノシュはこの「目をつぶり、一呼吸置いて」みたいな仕草が今も昔も絶品です。

見どころは、アフォガードを食べるシーン。猫を借りるシーン。かな。「2〜3日、猫を貸してもらえない?」言ってみたい台詞。

そうそう、すごい偶然!と思ったのが、本作のクシシュトフ・キェシロフスキ監督(覚えられん…)、ポランスキーなどを輩出したポーランドのウッチ映画大学という名門校を出てるんですけどね。タイムリーなことに蜜蜂と遠雷」「愚行録」の石川慶監督もこの学校の出身なんです。是枝監督からビノシュに流れてそこから石川監督に繋がっていくとは、と驚きました。

(2019年125本目)

空気人形(2009)

空気人形

空気人形

で、今度は是枝監督作品です(笑) これはなかなか独特な映画でございました。是枝監督こういうの撮るんだ。

ストーリーは「ラブドール(ダッチワイフ)が心を持ってしまう」というもの。のっけから「ラブドールと暮らす板尾創路」の掴みが良すぎます。パリパリ音を立てながら“いたす”シーン、いわゆる賢者タイムでアレを洗うシーン、こんなところまで映すのかすげえな!と若干引きながら観てました。

心を持って動き出してからのラブドールぺ・ドゥナさんっていう韓国女優さんが演じているんですが、こちらもまたデフォルトがトップレス。是枝さん攻めてます。推せる。

ただ、しばらくはかなりヌルいんですよ。ぺ・ドゥナさんの可憐さをもってしても、つまらないという。正直、観るのやめようかと思ったほど。でも頑張って観ておりましたら淡々とエグい展開になってまいりまして、まあ観てよかったかなって感じです。

万人におすすめはできないけれど、妙な体験をしたい方にはよろしいかもしれません。

(2019年123本目)

以上、食べ合わせの悪い3本でした。