マッチポイント(2005)
ウディ・アレン週間です。手始めに「ミッドナイト・イン・パリ」とこれのどっちかを観ようと思ってたんですが、これ後回しにしてよかったなと(笑) けっこう真逆なテイストの作品でございました。
このブログ、旧作では予告なくネタバレするスタイルを取っていますけども、今回一応書いておこうと思います。このあといきなりネタバレ書きますのでご注意ください。サスペンス気味の映画です。
というのもわけがありまして。前回「ミッドナイト・イン・パリ」を観たあと、町山さんのラジオでの解説なんかを漁って聴いていたんです、いつものように。そしたら町山さん、いきなり本作の話題を出して、かつ「殺しちゃうっていう話なんですけどね」くらいまで言っちゃったわけです。ちょいちょいちょい、ミッドナイトインパリきっかけでウディ・アレン遡る人多いだろうに超旧作とはいえご配慮不足気味なのでは〜〜〜???
でも、実際「殺すのか……」と思いながら観た感想としてはですね、むしろ効果的なネタバレだったのかもしれないとすら感じたのでした。核心はそこじゃないってことです。ダブルでしてやられた感じ。そんな映画「マッチポイント」の感想です。
惹きつける導入部
ウディ・アレンって導入のモノローグみたいなのが上手いんですよね。ビリー・ワイルダーと張れるくらい上手い。いつも惹きつけられてしまいます。
今回の導入部はテニスコート。ネットを中心にボールが行き来している映像。そしてこんなモノローグ。
テニスの試合でボールがネット上に当たる
その瞬間 ボールがどっちに落ちるか?
運良く向こうに落ちたら勝ち
こっちに落ちたら負けだ
人生なんて案外「運」で左右されるもんだよ、というお話。だから気楽にいこうぜ、というお話ではなく、ある「ツいてた男」の皮肉なお話です。これがなかなか、予想を裏切る心理ホラーなのでした。
イラつくドラマパートからのミスリード
本作には「ウディ・アレン的主人公」が登場しません。「ウディ・アレン的主人公」がまだ可愛げのあるクズ男だとするならば、本作の主人公は「倫理的にクズ男」。全編通してがっつり浮気・不倫モノなわけです(なおウディ・アレンのプライベートには言及しないこととする)。
これがとにかく感情移入できませんで。主人公にゾッコンな彼女・のちの奥さん、この人がまず非常に可愛いんですよ。だのにムッチムチなスカーレット・ヨハンソンしか眼中にないんですよこの主人公。もうひたすらスカヨハだけ追いかけてる主人公がキモくて! だったら最初っから付き合うなって話ですよ、奥さんはわたしがもらいますよ!!
そんなわけで「うわーこれ全く合わない作品だわ」と終始冷たい目で観ていたのです。で後半、例の「スカヨハ妊娠させちゃって困った挙句に殺しちゃう」っていうシーンがあって。はいはい、知ってる。主人公は証拠の品を川に投げ捨ててその場を去ろうとする。唯一、最後に投げた指輪だけがスローモーションになり、テニスコートのネットさながら柵に当たって……手前の道に落ちる……!! なるほどね!! そういう「運」の伏線ね!! と思いきや!!
やーこれは、お手本のようなミスリードだと思います。加えてとんでもない不条理を味わうことができ、「うーわ」な後味でエンドロールに突入できる。素晴らしいです。さっきビリー・ワイルダーの名前を出しましたけど、「情婦(1957)」くらい面白いどんでん返しなのでは?と観終わった時思いました。
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ていうかね、心境が複雑なんですよ。主人公ムカつくんで裁かれてほしい気持ちと、でも何も知らない奥さんは平穏な人生を送ってほしいという奥さん推しの気持ちとのせめぎ合いで、ある意味ベストな、表向きハッピーエンドなんですよ。このへんがまた、ウディ・アレンのいじわるなところ…。
女性たち
内容に関係のないセクションです。まずは運のない愛人スカーレット・ヨハンソン。
まだハタチくらい。「ロスト・イン・トランスレーション(2003)」のちょっとあと。なぜか卓球な初登場シーンとこの夕飯シーンは非常に魅力的でございます。それ以降はあんまり好みではない。そういえばお義兄さん最後までずっといい人だったな。
おもしろ画像。ただの演技指導であろうに全くそう見えないウディ・アレンのウディ・アレンみ。「登場しないはずのウディ・アレンだけを集めた写真集」が欲しくなりました。
そして、今回の推し、エミリー・モーティマーさん。テニスコートでお見かけした時から好きでした。
交際中はぶりっ子なところもあるけど要は表情コロコロ系で可愛い。ていうか主人公おい、見ろ、見て差し上げろ、キュートなフィアンセを。このやろう。
結婚後の落ち着いた雰囲気もとても好き。外出時はロングコートの着こなしがたいへん素敵。
お名前だけではピンとこないが、この方きっと以前にも惚れたことがあるぞわたし、と思い調べてみたところビンゴ。「メリー・ポピンズ リターンズ(2018)」のジェーン!
そうそうそうそうこれだ、ポピンズより好きでしたもん。「マッチポイント」はもう15年くらい前の作品だけれど、現在でも同じ魅力を振りまいておられることに感動でございます。多分わりと日本人好みのお顔なんじゃないでしょうかね。積極的に推していこう。
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