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主に映画の感想文を書いています

何も知らない、いまさら聞けないジョン・スノウのこと

ゲーム・オブ・スローンズシーズン7とそれ以前のネタバレを大いに含む記事です。最後のほうに最終章もちょびっと。未見の方はご注意ください。

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ジョン・スノウのこと、何も知らないね。

なにかと難解なゲームオブスローンズ。追いつかないわたしの頭。

いまいち理解できてなくてもなんとな〜く雰囲気で楽しんでしまって、シーズン7最終話で明かされたジョン・スノウの「出生の真相」なんていう超大事そうなところもじつは曖昧な認識のままだったり。

最終章を迎えるにあたってこれではいかんぜよ、と自分なりに調べ直したので書き残しておきます。

これまでの認識と、s7で明かされたこと

これまでの認識
  • ジョン・スノウはエダード・スタークが戦時中に他の女と作った「非嫡出子=落とし子」である
新たな見解
  • ジョン・スノウはエダード・スタークの子ではない
  • エダードの妹リアナ・スタークとレイガー・ターガリエンの間に生まれた嫡男である
  • ターガリエンの血を引く男子なのでデナーリスより王位継承順位が高い

順を追っておさらいしてみましょう。

「王座」のあるキングズ・ランディングについて

ドラマでは物語が始まって以降バラシオンやラニスターの人間が座っているのでそのイメージが強いですが、元々この都と城、および「鉄の王座」を作ったのはターガリエン家でした。

当時のターガリエン家はめちゃくちゃ強く、ウェスタロスにあった七つの国を統治して「七王国」という一つの国にしました。

しかしいろいろ(後述)あってそんな無敵のターガリエン家も王座から引き剥がされ、一族の生き残りはお馴染みデナーリスとヴィセーリスのたった二人だけになってしまいました。んでもってヴィセーリスも死んじゃいました。

そんなわけで、本来なら現状最も正当な王位継承権があるはずのデナーリスはなんとしてでも王座に再びターガリエンとして座ろうとしているのです。

ロバートがターガリエンを憎むわけ

物語序盤、ロバート・バラシオンは何やらターガリエンをえらく憎んでいます。リアナが云々、と恨みつらみを吐きまくっています。これにはどんなわけがあるのでしょう。

ロバート・バラシオンとエダード・スタークは、里子としてジョン・アリン*1のもとで一緒に育ちました。ロバートは、エダードの妹であるリアナ・スタークを愛するようになり、許嫁とします。

しかし、ある時リアナ・スタークはレイガー・ターガリエンによって連れ去られてしまいます。

レイガー・ターガリエンって誰?

狂王と呼ばれた当時の王エイリス・ターガリエンの息子。エイリスには三人の子供がおり、長男がレイガー、次いでヴィセーリス、そしてそう、デナーリスも彼の子です。レイガーはデナーリスのお兄さんです。

その呼び名の通り、ひどい王様だったらしいエイリス。デナーリスが生まれたのは彼の死後ですが、ことあるごとに「あなたのお父上はひどかった」などと言われているので相当だったのでしょう。デナーリスにしてみりゃ知らないわよって話です。

さて、スターク家はリアナの失踪をレイガーによる誘拐事件と断定。王座のエイリスに直談判すべく、兄ブランドンと父リカードで王都へ行きます。が、狂王エイリスは二人を無残に殺してしまいました*2

これでいよいよ堪忍袋の緒が切れたロバートはエダードと共に出陣し、手始めに憎っくきレイガーを殺します。

ロバートがターガリエンを憎む背景には、最愛の人を奪われたこと、家族同然の者たちを惨殺されたことなどがあったのでした。

時を同じくして

当時エイリスのもとで仕えていたラニスター家が反旗を翻します。この時エイリスの「王の盾」をしていたジェイミー・ラニスターは、本来護るべき王を背中からブスッとひと刺し。これにてお馴染み「王殺し=キング・スレイヤー」なジェイミーの誕生です。

物語の始まり

ラニスター家に裏切られるも命からがら生き延びたエイリスの妻レイラと息子のヴィセーリスは、お腹の中のデナーリスと共に亡命。レイラはデナーリス出産時に死亡し、ターガリエンの生き残りはヴィセーリスとデナーリスの二人だけとなりました。

狂王およびターガリエン家の人間が表向きはいなくなったため、反乱のリーダーであるロバートが王座へつき、サーセイ・ラニスターとの政略結婚でその立場をより強めました。ここまでが「ロバートの反乱」と言われる出来事であり、物語はここから始まります。

リアナ・スタークの出産

レイガーを殺したのち、エダードはリアナを見つけ出します。しかしリアナは出産で消耗しており、エダードにいくつかのことを言い残してから死んでしまいます。

  • 子供の父親はレイガー・ターガリエンである
  • そうと知れたら殺されてしまうので、ロバートには隠しておいてほしい
  • 子供はエダードのもとで育ててほしい
  • 子供の名前はエイゴン・ターガリエン

戦いが終わるとエダードはこの子供をウィンターフェルへ連れ帰り、キャトリンやロバートにも「落とし子」と偽り続けたまま育て、真相を明かす前に世を去ります。

戸籍が大事

言わずもがなその子供はジョン・スノウ。ずっとエダードの非嫡出子と思われていましたが、「三つ目の鴉」となったブラン・スタークが見たビジョンにより、リアナとレイガーの子供であることが判明します。ではジョンはターガリエンなのか。

残念?ながらこの時点では違います。

さっき書かなかったこととして、当時レイガーにはリアナ以外の妻がいました。つまりリアナとの関係は悪くて強姦、良くて不倫。生まれた子供は嫡子ではなく、結局またレイガーの「落とし子」扱いになってしまうのです。そうだった場合の新たな名前は、ジョン・サンド*3。またなんとも微妙な名前です。

と思っていたら、知識の塔で修行してきたサムウェル・ターリーが「それは違う!」と待ったをかけます。

サムが偶然読んだ総司祭の個人的な日記のなかに「レイガーの婚姻を無効にした上で、新たにリアナと婚姻を結ばせた」こと、つまり「前の奥さんと別れてリアナと再婚した」ことがオフレコ的に書いてあった、のだそう。

となると話は違ってきます。ジョン・スノウと呼ばれたその子供は、リアナ・スタークとレイガー・ターガリエンの正式な子供=嫡男であり、なんならデナーリスより王位継承順位が高いターガリエンの男子だったのです。というのがシーズン7で明かされた真相でした。

ついでに、ロバートの積年の恨みもじつは完全なる誤解、っていうかロバートの想いとは裏腹にリアナはレイガーと駆け落ちしていたというわけ。可哀想なロバート…(まあいずれにせよ、おのれターガリエン案件なことには変わりなし)。

なおジョンとデナーリスはいつの間にかお付き合いしてる感じになっちゃってますが、甥と叔母です。ただし近親相姦云々については、むしろターガリエン家は純血を求めて近親婚をする習慣があったようで、よって少なくともこの世界では問題なし。よかったね!

これはちょっと最終章のネタバレですが

ep1でサムからその真相を明かされたジョン。彼女さんには頃合いを見計らって明かしなさいねと言われたのに、よりによってep2決戦前夜に明かしてしまい、「え、するってぇと何、アンタのほうが座れちゃうワケ?」とだいぶ険悪な感じになっちゃいました。さあどうなるジョン。正直どうでもいいけど…。

以上、自分用メモに毛の生えたやつでした。

これに入ってる「外伝」がとてもおもしろいです。ドラマ本編には登場しない歴史を沢山知ることができ、とてもフィクションとは思えなくなること請け合い。狂王エイリスや「ロバートの反乱」あたりのことも細かく説明されています。

*1:冒頭で死んじゃう人。彼は生前ロバートの「王の手」だったため、彼亡きあと唯一信頼できるエダードに「王の手」を任命すべくロバートはウィンターフェルを訪れます。

*2:ちなみにキャトリンは元々ブランドンと婚約をしていましたが、この事件で結婚相手を失ったためその弟エダードと結婚することになります。

*3:ジョン・スノウの「スノウ」とは北部の落とし子につけられる姓。リアナがジョンを産んだ場所では、「サンド」が落とし子の姓でした。