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主に映画の感想文を書いています

ビール・ストリートの恋人たち(2018)

f:id:threefivethree:20190303214523j:plain 最寄り映画館でやってない系を一気に観ちゃおう、と思い立った日曜日。「女王陛下のお気に入り」とこれをハシゴしました。立川シネマ・ワンの6階2シアターを制覇。最近よく行ってます。

本作は、一昨年のアカデミー賞作品賞などに輝いた「ムーンライト(2016)」のバリー・ジェンキンス監督作品です。

青い光源が印象的だった「ムーンライト」に対し、今度の作品は黄色い光源を主に使っているようでした。どちらにしろ、この監督が撮る黒い肌には見惚れてしまいます。

お話は、冤罪投獄という理不尽に屈すまいとする若い黒人カップルの物語。70年代ニューヨークが舞台となっていますが、タイトルの「ビール・ストリート(Beale Street。Beerじゃないのです)」というのは全く別の場所で、もっと南部のほうにあります。

キング牧師が暗殺されたり、アレサ・フランクリンが生まれたりした地らしいです。あの「B.B.キング・ブルース・クラブ」があるところか!と知ってちょっと興奮。よく聴いていたんですよ、ジェフ・ベックのこれを。

Live at B.B. King Blues Club/Collect

Live at B.B. King Blues Club/Collect

…と思ったらこれニューヨークの同名店だったよ! なんだよ!

まあその、アフリカ系の人たちの魂があるところというか、そんなちょっと概念的なものかもしれないらしいですね、ビール・ストリート。監督のインタビューにそんなことが書いてありました。

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つまりここはビール・ストリートではありません

さて、なかなか感想に踏み込んでいないのはわけがあって、要はピンとこなかったっていう、そういうことなんですけど。「ムーンライト」もそんなピンとはこなかった覚えがあるので多分わたし、バリー・ジェンキンス作品とは相性が良くないのでしょう。

相性の良くない作品についてどうこう言っても仕方ないんですが、同じく公開中の〝言ってしまえば似たテーマ〟な映画「グリーンブック」とは正反対の作品になっているのが興味深くて。両方観てみると、一悶着あったらしいのも理解はできるなという感じがします。この2本、相容れない感じがすごくします。

ただ、この論点に関してさして強い思想があるわけでもないわたしとしては、こういうことがあった/あるんだなあ、こうするべきだなあと分かりやすく意識に変化を与えてくれる「グリーンブック」のほうが心に響くようでした。

ちなみに本作は同名の小説「If Beale Street Could Talk」が原作になっていて、その邦題は「ビール・ストリートに口あらば」。なぜ変えた…! 「口あらば」のままだったらもう少し歩み寄れたかもしれないのになあと勿体なく思ったりしました。

(2019年24本目/劇場鑑賞)