ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ <ディレクターズ・カット>(1984)
「午前十時の映画祭9」で楽しみにしていた作品のひとつです。この作品自体は昨年9月に初めて観て(参考:感想記事)、4時間近い長尺かつ淡々とした作風でありながら飽きさせない稀有な魅力、あまりに美しいエンニオ・モリコーネの音楽など、大いに魅了されました。
今回上映されたものは、2012年に修復&再編集された新しいバージョン。紛失したと思われていた幻のシーン(なかなか衝撃的なシーンばかりでした)がいくつか追加されたことにより、複数あるバージョンのなかでも過去最長の4時間11分という尺に仕上がっております。
「午前十時の映画祭」はその名の通り、午前10時からの枠しかありません。一般的な映画ならお昼過ぎには終わるであろうところ、本作の場合は終わって映画館を出たら午後2時半です(笑) さすがに時間の工面が難しく、丸々一ヶ月とられた上演期間中でもあわや行けずじまいかと思ったものですが、どうにか滑り込みで行くことができました。
これだけ長いとさすがに劇場選びも慎重になります。しばし悩んで、立川シネマシティの極音へ行くことにしました。劇場へ入っていく人たちが盟友に見えました。上映前、携帯を切るタイミングで「いざ!」と思うような映画はなかなかありません。4時間11分+休憩15分*1、覚悟して、いざ。
半年弱ぶりに鑑賞した感想は、こんな甘酸っぱ切ない男の友情物語が他にあろうか!という結構シンプルなところに落ち着きました。この映画、タッチとしては「ゴッドファーザー」シリーズ的なギャング映画の色が強いわけですが、実際のところはものすごく単純に友情のお話、青春のお話だったのだな、と今回すごく思いました。
好きなのが、ラスト間近、デ・ニーロ演じるヌードルスが「私の昔話はもっと単純だ」と話し始めるシーン。ここまで4時間も見せといてなぁ〜に言ってんだよ!と突っ込みたくなってしまうシーンであると同時に、いやわかるよそうだよね、めっちゃ単純なお話だよね、と涙ながらに頷いてしまうシーンでもあります。
また同じ場面だったか、モリコーネの殺人的な泣きメロが涙腺を総攻撃してくる走馬灯シーンがあるんですけど、あれは劇場で見せられるとやばいです。同じくモリコーネ音楽の代表作「ニュー・シネマ・パラダイス」ラストの検閲映像シーンに通じるものがありました。おまけにこちとら4時間分の感情移入があるわけよ。
とにかくわたし、本作におけるモリコーネの劇伴が大好きでして。いまのところ一番好きな映画音楽と言ってもいいかもしれません。この音楽を劇場で聴けたことが今回なによりの幸せな体験でした。
それから、幼少期のデボラを演じるジェニファー・コネリーの美少女っぷりにも改めて射抜かれた次第でございます。
(翻弄されてえ〜〜〜)
じつはこの前日に「アリータ:バトル・エンジェル」で最新のジェニファー・コネリーを見てきたのですが、鼻のラインがまったく変わっていなくて感動。奇しくも、本作で何度も強調される「35年」の月日が経っていることになりますねえ。
成長したデボラもジェニファー・コネリーだったら……なんていう有り得ないことを望んでしまうのは決してわたしだけではないでしょう(笑) とはいえ、終盤のくたびれてしまったデボラはエリザベス・マクガヴァンだからこそのほろ苦さかもしれません。
初見時と比べて大きく見方の変わったシーンがひとつ。そう、ニューヨークで実際に「あの場所」へ行ってまいりまして(参考:NY旅行記)。
ブルックリン側からマンハッタン橋を望むダンボ地区。撮影時からほとんど変わらない景色が残っています。このアングルでのカットは本作を象徴するものとなっていますが、意外とあの瞬間くらいしか出てこないのだというのも新たな発見でした。それでもやはり、この撮影スポットは観光客で溢れていました。名シーンの場所に実際に立つことができたのは嬉しい想い出です。
それともうひとつ、個人的に本作で非常に印象的な「ゴミ収集車」がMACKだったんだ!というのも2度目での発見でした。
というのも、ニューヨークへ行ったときに何気なく撮ったトラックもMACKだったんですよね。どうやらこのジャンボなトラックがわたしには刺さるらしいです。
「午前十時の映画祭」での上映は2月いっぱい、もうあと残り数日で終わってしまうので今更宣伝記事にもならないですけど、もしも迷ってる方がおられたら全力でおすすめいたします。4時間11分は意外とあっという間です! もちろんソフトや配信などで観るのでも変わらず素晴らしい作品ですのでぜひ!
(2019年18本目/劇場鑑賞)
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