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主に映画の感想文を書いています

劇団四季「キャッツ」 / 大井町キャッツ・シアター(2019/01/27)

f:id:threefivethree:20190128212027j:plain 劇団四季の「キャッツ」を観てきました。初キャッツです。あえて、ネタバレ最小限で書きます。(末尾にネタバレ感想羅列も追記しました)

チケットを取ったのは昨年夏ごろ、かな? ニューヨーク行きの準備真っ只中、それこそブロードウェイのチケットを取っていた時期ですが、楽団で「メモリー」を演奏することになったのでその予習に。なお夏の時点で土日はもう数席しか残っておらず。

劇団四季はだいぶ前に「ライオンキング」を観たきりで、「ロングランなだけある!!」と純粋に大感動したような記憶があります。久しぶりの四季、そして同じくロングラン演目。まあ悪くないはずがないよね、くらいの気持ちで行きました。

正直ちょっと第一幕は期待外れだったんですけど、いい意味で予想を裏切られ手のひら返しの第二幕。いやー、やっぱりロングランはダテじゃない! 良かったです。感想を一呼吸で言うと、こんなもんかと油断させる第一幕、タネも仕掛けもない休憩時間、からの手の内全明かしな第二幕。専用劇場だからこその猫的ツンデレエンタテインメント。って感じになりました(息切れ)。

特に「あの休憩時間からの第二幕」がすごい巧いと思ったんですよね。専用劇場として作られたキャッツシアターは劇場丸ごと「都会のゴミ捨て場」として演出されていて、ま〜とにかく楽しい。んで、休憩時間にはなんとステージまで見学できるようになるのです。まじまじと床とかを眺めて、意外と何も(可動部分とか)ないんだな〜なんて思ってからの「あの第二幕」ですよ。巧いな〜〜〜。

仮にあの休憩時間がなかったとしても、もともと一般的な劇場よりは観客がみんな場内のあらゆるものをガン見してるわけですよ。その上で「えっ!」と驚かせてくれる、前提としての「タネも仕掛けもないよね〜? でもね〜ほらっ! どうだ!」というのが、おもしろいな〜〜〜と。

あそこまでの自由な演出は専用劇場じゃないと難しいと思うので、キャッツの魅力は専用劇場にあり、なんでしょうね。客席と舞台がシームレスなのも、苦手な人は多そうですが(わたしもあまり得意ではない)楽しくていいですね。第二幕の始まり方なんかも、きっとああいうのは公演を重ねるうちにできていく演出なんじゃないかと推測してるんですけど、ロングランの余裕を感じます。

お話がそもそもよくわからんとか、わりと何を言ってるか聞き取れんとか、スーパー戦隊ショーを見せられているのかな?と思ってしまうようなシーンの多さとか、少なくとも予備知識なしの初見では満点かと問われればNOだったんですが、猫だと言われてしまえば納得といいますか、猫の気まぐれショウなんですよ、確かに。終わりデレならツンも良い。

ちなみに席は右側のかなり端っこ後方を取りました。見切れ席かと思いきや、キャッツシアターの作りが素晴らしいのでどこでも死角なしで楽しめると思います。なんならベスポジじゃないかと思えるシーンもありました(夜行列車。あれ感動した…)。なお通路側の席だともれなく猫に絡まれるので、そういうの苦手な人はちょっと内側にしたほうがいいかもです。四季のサイトは座席指定で取れるのでよいですね。

そういえば、客席内で「おつかれさまでーす」「おつかれさまでしたー」「またよろしくお願いしますー」みたいな会話をしている人がえらく多かったのですが皆さん四季の会的なそういうやつですか。現場ですか。

久しぶりの四季、安定の良さを再確認したので「パリのアメリカ人」あたりも行きたいなと思いつつ。今年の抱負に従うならば行きたいと思った以上は行くべきか。以上、内容には全然踏み込まない「キャッツ」観劇記録でした。


(追記)ネタバレあり感想羅列

ぐちゃっといろいろ書きます。

  • 最初の目、好き。なるほどさてはこりゃめちゃくちゃ客席側出てくるな〜〜??ってなる。
  • 直前に「コーラスライン」のドキュメントを観ていたせいで、最初ステージ中央にうずくまってる猫を見てなぜか涙腺崩壊しそうになった(あの場所に辿り着くまで…っていう)。
  • 序盤、無伴奏のセリフ合唱がおもしろい。演者が客席全体を歩き回ることによる人力サラウンド、シンプルで奇抜な演出。
  • 「ジェリクルキャッツを知っているか?」ってなんかすごい口に出して言いたくなる。
  • オケピはいたのだろうか。これまで観てきたミュージカルで初めてオケピが一切見えなかったので、少々物足りなさがあった。全体的に電子音主体のチープな音色で構成されており、アナログシンセ的サウンドのところは別にいいのだけど、普通に「キーボード弾いてます」みたいな音も多用されていて必要以上にチープな感じがした。音楽のライブ感に重きを置く場合は大きなマイナスポイントかも。
  • オペラ座の怪人」も手がけたロイド=ウェバーの音楽、そう思って聴くと確かにあの分数コード使いはめっちゃ共通点ある。
  • 「メモリー」の変拍子は結構違和感があるのだけどなんでああしたんだろう、などと言っても仕方ないか。
  • 娼婦猫の説明がまるでないので、最初の「メモリー」が感動よりも何よりも「あのおばさん誰…」になってしまう。あとあの娼婦猫、遠目には人間のおばさんにしか見えなくてちょっとアレ。
  • 第一幕終わった時点では全然ピンときてなくて、ほんとに「うーん」な感じだった。
  • 休憩もステージに上がる気はなくて、トイレの帰りに一応ステージを経由したって感じ。後から思うと、ステージ見ておいてよかった…!
  • まもなく開演、のところで「えっ、なんか歩いてる!」と周りがざわついていて気付く。「徘徊じゃん」とか言われてて草。あそこからのシームレスな二幕入りはおもしろかったなあ。
  • 往年の栄光猫でまず「おお、こんな手の内を隠していやがったか」と期待が高まり、そこからのマジシャン猫で完全に手のひら返した。ほんとあのステージ全然そんな仕掛けとかなさそうだったのに! あんなに次から次へと、どこから繰り出してやがるんだ…!!
  • 夜行列車のナンバー、いやまあ普通に楽しいなあと(おそらく四季会員さんたちが手拍子を先導してくれてるのだろうとも感じた)思っていたら想定外の汽車演出に泣きそうになった(ああいうの好き)(しかもめちゃくちゃクオリティ高いし)。
  • 召されるシーンは魔法のじゅうたん方式か!!と思ったら台があってちょっと笑ったけど(なお魔法のじゅうたんのトリックは知らない)、でも横から見ててもそこまで変ではなかったし雰囲気あった。天上への階段も、あれこそさすが専用劇場!である。普通の会場じゃあそこまでの演出はできないもんな。
  • フィナーレ、めっちゃ客席出てきて〜の超大団円、絡まれるのは嫌だけどああいう雰囲気は大好きなので完全に泣いていた。ある意味ちょっと押しが強いとも言える強気の演出は、ロングランの余裕を感じる。
  • カーテンコール最後の最後、手拍子煽りまくってそのまま消える演出、ニクい。あのへんは長年の公演で練りに練られたものなんだろうな。
  • セリフ聞き取れない(ていうか猫の名前がまずわからない)こと多々だったしお話の内容も結構はてなマークが浮かぶものだったけど(解説によれば、起承転結はないらしい。なるほどそれは難しい)、とにかく終わりよければ全てよし感が非常に強い作品だった。最終的な満足度はかなり高かった。

今度こそ以上です。