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主に映画のあらすじと(まとまりのない)感想文

アウトレイジ 最終章(2017)

北野武監督作品。一作目のバイオレンス描写がトラウマで結局「アウトレイジ」シリーズは一度も劇場鑑賞しませんでしたが、最後くらい観に行けばよかったな〜と少し後悔。そんなソフト鑑賞です。序盤は特に台詞が聞き取りづらいため、黒澤映画とかの感覚で日本語字幕つけて観ちゃいました(笑)

あらすじ

コワモテ俳優のアベンジャーズです。

すみません、漢字が多くて心折れそうなので放棄します。「アウトレイジ(2010)」「アウトレイジ ビヨンド(2012)」ときてのシリーズ第三弾にして完結編、です。そんなに間あいてたんですね。北野映画はほとんど観たことないんですけど、周辺で流行ったためこのシリーズは観てました。

バイオレンスとか生死感とか

一作目は「歯医者」とか「車」とか「指」とか目を覆いたくなるようなヤクザ・バイオレンスが多くて、拷問系が苦手なわたしとしては指の間から見る感じだったんですが、二作目以降はドラマ性のほうが強まった印象で、普通に観れました。

ライムスター宇多丸氏と北野武監督の対談、おもしろいです。ヤクザ映画に見立ててあるけどその筋は意外と身近な…っていう話だったり、張会長を演じる無名の大型新人のことだったり、銃の好みだったり。そのなかで宇多丸氏が「拳銃を使わずに鈍器と刃物だけの北野映画を見てみたい!」とリクエストすると「ちょっと『痛すぎる』画になっちゃうと思うんだよね」と監督。例の「キャンプ」シーンも「品がないかも」という理由で直接的な描写は避けたようですし、わりとそういうところ気にしてくれてるんですね(笑)

個人的には鈍器や刃物よりも拳銃のほうが生々しくなくて好みなので、本作の暴力路線は好きです。「しゃらくせえ、弾が出たら当たって死ぬんだよ」っていう監督のポリシー(対談内で言及あり)のおかげで、どんな奴でも撃ったら死ぬし(それこそ味方でも)、絶命が早いし、死にかけで反撃してきたりしないし、さらっとしててとてもいいと思います。終盤での座布団かまして脳天一撃、もクールで好き。かと思えば「キングスマン」さながら威風堂々が聞こえてきそうなパーティシーンも好き。銃殺の語彙が豊富。

ここまで頑張って生きてきた人たちが何かとあっさり死んでいくので、自分よく30年も生き続けてんなあとか、どうせ死ぬならこれくらい一瞬で息絶えたいもんだわとか、つい思ってしまいます。大友と大森南朋(統一されない呼称。多分アウトレイジあるある)が「お前、死ぬぞ」「いいですよ?」って会話するところの生死感が印象的かつ少し魅力的でもあります。うっかり味方殺しちゃって「ふたりになっちまったなァ」と漏らすところもすごく好き。フィクション作品で見せられる生死のはざまはよいものです。

バイプレイヤーズ

コワモテ俳優のアベンジャーズ、もしくは超バイブレイヤーズ。本作のキャストはまじすごいっすね。基本的に役名じゃなくて俳優名で呼びたくなっちゃう人ばかり。まず掴みがいいのは花田ことピエール瀧。ヤバい奴かと思いきや超お間抜けキャラで、ダーティな作風をちょっとマイルドにしてくれてます。最期もコミカル! それにしても、お詫びに3,000万持ってったら6,000万になって返ってきてやむなく1億包んで…とか何だその単位は!って感じのやりとりがむしろ痛快。

そして、野村会長こと大杉漣さん。かっちょいい役を期待していたらなんと大型雑魚キャラ。いや〜そりゃあ、ポロシャツ着てたらフラグだわ〜って思っちゃいましたけど、でも格好良いところは格好良かったです。あんな愉快なラストシーンも用意してもらえて、楽しい遺作だったことでしょう。そういや、新たに西野(西田敏行)が会長の座につくところ、「裏切りのサーカス」でゲイリー・オールドマン演じるスマイリーがリーダーの座につくところと似た絵面だなあなんて思いました。

なかなか読めないキャラだった塩見省三、安定の涙袋マン岸部一徳、「バイプレイヤーズ」ですっかりファンになってしまった光石研、ラストシーンで刑事を辞め井之頭五郎になってしまった松重豊、みんな顔面の味わいが素晴らしい。塩見さんと西田さんは重病を患ったあとの満身創痍状態で出演していたそうで、特に西田さんは知って納得の「変な向き」が多数なのですが、それもまたあの空気感作りに大いに貢献しちゃっているあたりベテラン俳優ってすごいです。

それから張を演じた金田時男さんという方、てっきりベテラン俳優さんだと思ってたらなんと前作「アウトレイジ ビヨンド」が映画初出演の超大型新人かつ、本業は俳優ではなく本当に韓国系実業家という、なるほどそりゃ新人とはいえ滲み出るリアル。なお側近を好演した白竜さんも韓国系の方でした。

ところでエンドロール、北野映画にも本シリーズにも明るくないので「あれ?」と思ったんですけど、役名が出ないんですね。左側に日本語のクレジット、右側に英語のクレジット、いかにも「世界の北野」って感じです。これって過去作でも共通の仕様なのかしら。


英題は「OUTRAGE CODA」ということで、音楽記号のコーダが前面に出されたタイトルロゴになってます。同じことの繰り返しから抜け出して「コーダ=終結譜」へと入るイメージが醸し出す、切ない「最終章」のムード。ただし「ひとりで勝手にコーダ入っちゃった人」みたいにもなってる感があって、プレイヤー的に言えば「大友さん、落ちました」っていうラストです。合奏はまだ続いている…かも。

(2018年99本目)

100本目なに観よう…。