- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2014/12/02
- メディア: Blu-ray
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ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV)
- 作者: ジョンル・カレ,John le Carr´e,村上博基
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/03/31
- メディア: 文庫
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あらすじ
米ソ冷戦中のイギリス。米国側についている英国情報部「サーカス」は、敵であるソ連の情報部(KGB)と情報戦を繰り広げていた。
あるときサーカスのトップであるコントロールは、サーカス内に潜む「もぐら=二重スパイ」を炙り出す作戦を実行するも失敗。彼の右腕であったスマイリーを道連れに、退職した。しかし「もぐら」への疑念は未だ晴れず、政府上官から「外部の人間となった君が最適だ」と依頼されたスマイリーが秘密裏に捜査を始める。
とにかく難しい作品です。「地味で渋いスパイ映画」くらいのイメージでゆるりと観始めてしまったわたしは、あまりの「理解できなさ」にパニックでした(笑) 頭にはてなマークが浮かびまくるなか解説を求めて検索すると、「1回で諦めないで」だの「2回目以降から劇的に面白くなる」だの、先輩方からのメッセージが出てくる出てくる。なるほどそういう映画かと察し、もう1回観る覚悟で復習&予習に取り掛かりました。
そもそもの原作
邦題風の語呂で。はい、そもそもの原作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」、どうやらイギリスではかなり有名なスパイ小説ということになるようです。つまり、誰が「もぐら」であるか、ということは観客の皆さんご承知と。そういう前提っぽいです。なので本作の主軸は「謎解き」ではなく「人間ドラマ」のほうらしいのですね。
「裏切り者」というイメージで日本のカルチャーに当てはまるものを思い巡らしてみたところ、例えばノンフィクションですけど「本能寺の変」とかどうでしょう。大河ドラマなどで幾度と描かれている超有名なお話ですが、「じつは………明智光秀が裏切り者でしたー!!!」なんて作りにはなっていないわけで、描かれてるのは人間ドラマのほうですよね。そんな感じなのかな〜と思いました。
まあ、というわけで「謎解きを楽しむ映画ではない」んですね。ただ、前述の通り本国のほうではメジャーなお話だそうですから大河ドラマのように「人間ドラマを楽しむ」ことができるのでしょうけど、日本においてはなかなかそうもいかないわけで、「ものすごく難解なスパイ映画」になってしまうのでした。
じゃあ日本では楽しみにくいのかというとそうでもなくて、代わりに「理解していく楽しみ」が得られる作品となっています。
楽しみを得る方法
とにかく調べることです! 幸い、諸先輩方による解説ブログ等が大量に存在していますので(本当にありがたい…)、ちょっと調べればすぐ好みの解説ブログ等に当たることでしょう。わたしは今こちらの解説(というか超丁寧な筋書き)を読ませていただいているところでございます。
最低限なにを把握しておけばよいかというと、以下の点になるかと思います。
- 米ソ冷戦中の時代背景(英は米側、ハンガリーはソ連側)
- 東西ドイツと英米ソあたりの関係性(ソ連は東、英米は西)
- 登場人物の本名/暗号名
- 登場人物の相関図
- ウィッチクラフト作戦とはなんぞや
- カーラとはなんぞや
わたしはとりあえずこのへんのことをノートにがーっと書いてみてから2回目の鑑賞に挑み、その結果かなり楽しめるようになりました。勉強だいじ!
特にやっぱり名前は必修科目ですね。「コントロール」とか「スマイリー」とか人名っぽくないのが人名だったり、ただでさえ覚えづらいのに「暗号名」まであったり、と非常に「物語を追う妨げ」になるので、メモを見ながら観るくらいの姿勢で挑んだほうが吉です。これを劇場で観ていたらと思うと…さぞや…震えます。
ちなみに、コリン・ファース演じる「テイラー」ことビル・ヘイドン。はい、【コリン・ファース】が【テイラー】。そう、なんと「キングスマン」はこれのパロディらしいですよ! ハゲ教師ことジム・プリドー役のマーク・ストロングさんも出てきますしね!
脱線しますが、それにしてもキャストがすごいです。ゲイリー・オールドマン(最初のほう、特殊メイクが気になって集中できなかったけど)、コリン・ファース(すき…)、トム・ハーディ(地味さマックス)、ベネディクト・カンバーバッチ(気付かなかった!)、よく見るお顔トビー・ジョーンズ(「アトミック・ブロンド」でもMI6幹部役でしたね)、ほか。これじゃ誰が「もぐら」だか予想できないよってくらいの豪華キャスト。2日連続での鑑賞にも余裕で耐えうるわけです。
武装したうえでの「2回目」はガツンと面白い
前述の通りですが、しっかり準備して臨んだ「2回目」はびっくりするくらい「ほほう!!ほほおう!!」と楽しめること請け合いです。諸先輩方がみなさんそのように書いてらしたので「いいな〜〜〜〜それ味わいたい!!!」という気持ちで勉強(と言うには恥ずかしいレベルですが)してみて本当によかったなーと思います。
本作は難解でありながら「考察を楽しむ映画」というよりは「見えるようになることを楽しむ映画」です。作品の理解に必要な知識を身につけていくことで「特殊なメガネ」が出来上がります。そのメガネをかけると、これまでなんのこっちゃだった映像の羅列が全て「見える」ようになります。初見後「????」な状態で当記事に辿り着いた方がおられましたら、ぜひその「メガネ」をかけて、2回目をご鑑賞ください!(もちろんその先には「考察の楽しみ」もあるはずですから、何回でも楽しめる超お得な作品ということになりますね!)
なお、予習復習を経ての超個人的な興奮ポイントは、ターのお相手イリーナさんがKGBの女スパイだったことです。ザ・ハニートラップ! 「レッド・スパロー」じゃん! っていう。今観たら「レッド・スパロー」も「アトミック・ブロンド」もだいぶ理解しやすいかもしれないなあ。
映画そのものの魅力については全く触れずじまいの記事となってしまいましたが、3回目を観ることがあったらそのときにでもまた書けたらと思います。
(2018年81本目)※2日連続で2回鑑賞