「シェイプ・オブ・ウォーター」と賞獲りレースをしているっぽい印象があるので、やってるうちに観て来ました。どっちかというとシェイプ〜よりこっちのほうが気になっていたのであります、もともとは。
いやはや、かき混ぜられた闇鍋みたいな心境で観終わりました。感想もどう書いたらまとまるのやら分からない。まあ、お話がそもそもまとまってないし、いいか…。
物語は、狭い世界で繰り広げられる「そうとは知らずに」の連続です。思い返してみるとあれもこれもみんな「そうとは知らずに」の連鎖になってて、おもしろいなーと。例えば署長が命を絶ったあたりの展開にしても…
- 署長のブラックなユーモアとは知らずに差出人不明の広告費を使うミルドレッド
- 訃報を知らずにチキチータでゴキゲンなディクソン
- そうとは知らずに後任署長の前で暴れ回るディクソン
- 広告と関係ない自殺とは知らずにミルドレッドへ当たる署長の奥さん(知ってたとしても当たるのは変わりないだろうけど)
- 元旦那が犯人とは知らずに警察署を放火することにするミルドレッド
- 放火されるとは知らずにまたイヤホンで音楽聴いてるディクソン
- ディクソンが署長の手紙で心を入れ替えようとしているとは知らずに火炎瓶を投げ込むミルドレッド
- まさか自分に大怪我を負わせた犯人だとは知らずに新入りの患者ディクソンに優しくするレッド(このくだりに関しては「知ったあと」がハートウォーミングなんですけども)
- 背中越しに元警官ディクソンが聞いてるとは知らずに前科の自慢話をするアイダホ男
- お見通しとは知らずに自白するミルドレッド
などなど。ディクソン、お前ばっかりだな!?っていう感じですが(笑) 今作、一番愛せるキャラはディクソンなのかも。
難しい考察はできないので、印象に残ったところを挙げると、「シリアル頭」のくだりで元夫氏がブチ切れ〜のちゃぶ台返し〜の暴れ〜のするんだけど冷静な息子くんが唐突にパパの喉へ包丁突きつけて「喧嘩はやめて!」と仲裁し(きみが一番凶暴な手を使っているような…!)落ち着いたところでパパが丁寧にテーブル戻したりするのとか特に好きでした(?)。同シチュエーションにて19歳のカノジョちゃんが何をどうやっても動じないド天然なのとか。「怒りは怒りを来す」の子ですからね。さすがだね。
ちなみにこのマーティン・マクドナーという監督さんは北野武作品に大いに影響を受けてきたらしく、言われてみると確かに、うん、わかる、たけし映画っぽい、ってなとこちょいちょいあります。なんなら歯医者のシーンとかも(笑)
あと、この映画ってそもそも時代設定いつなの?というのがわかんなかったんですが、「ググる」という言葉が出てきて、原語でも多分Googleって言ってた気がするので、少なくともGoogleはある時代っぽいですね。そのわりに作中でコンピューターらしきものがちっとも出てこないように思うんですが。…と書いていて思い出した。最初のほうで署長がテーブルにスマホ置いてたわ。スマホもある時代でしたか、失礼しました…。
と、そんな感じの、何もまとまらないまま、終わりです。そうそう、「シェイプ・オブ・ウォーター」でも途中で何回か3つのビルボードが出てくるシーン、あるんですよ。バスからの風景だったかなあ。昨日、観ながら「おや、こんなところにスリー・ビルボード…」などとおもしろく思っておりました。
(2018年40本目 劇場鑑賞)