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主に映画の感想文を書いています

クワイエット・プレイス(2018)

ニューヨーク行きユナイテッド機内で観た映画その2。

B級ホラーと思ったら大間違い

日本語吹き替え版で再生したところ「ん?」と違和感を覚え、少しして納得。手話なんですね。音声解説みたいな感じだったのでちょっとこれは、と思ったものの日本語字幕版はなかったので、英語字幕での鑑賞に挑戦。

※追記(2021/06/19):機内で観た吹き替え版は手話の字幕も読まれていたのですが、現在サブスク等で観れる吹き替え版は字幕併用なので違和感なく観られると思います。

なんの説明もなく観客が放り込まれるのは、どうやら大きい音を出すと凶暴で敏速なクリーチャーに襲われて死ぬらしい荒廃した世界。そして物語の中心にいるのは、音の出ない手話をコミュニケーションツールとして生き延びている一家、であるらしい。手話とクリーチャー、要素的にはちょっと「シェイプ・オブ・ウォーター(2017)」的。内容は全然違う。

予告で見ていたときは「音を立てたら即死」だとか、そのうえ出産のシーンだとか、なんて悪趣味なホラーだと思ってたんですけど、蓋を開けてみたらかなり良質のスリラーでした。スリラーっていうか普通にいい映画です。

英語字幕での鑑賞は、偶然のことでしたが結果的にすごく良かったです。むしろおすすめします。おそらく基本的な手話しか使っていないからなのか、字幕の英文も中1レベルの、英語なんて無理!な人(わたしのような)でもざっくり理解できちゃう簡単な文章しか出てこなくて、頭使わなくても大筋は理解できます。

そもそも半ばサイレント映画のような作品なので、「感じ取る」ことが大事。英語でなんとなく理解する程度がちょうどいいように思いました。

そんでもって特筆したいのがラスト。このラストが、めちゃくちゃかっこいい! こういうタイプの映画で「ラストがかっこいい」ってどういうことよと思われそうですが…これはきっと誰もが滾る終わり方なんじゃないかなと。「こいつ……勝てる……!(ジャキッ)」ここで終わるのめちゃくちゃ英断ですよ。

ホラーに詳しくない監督は制作にあたって「ゲット・アウト(2017)」などを観て勉強したそうで、あれも後味のいいホラーだったなと、なんとなく納得です。

日本では劇場公開とソフト発売の間ということで観れる環境がなさそうですが、海外版の英語字幕でも余裕で楽しめると思いますのでご興味持たれた方はぜひ。近々にユナイテッド乗られる方は入ってると思いますのでぜひ(笑)

(2018年234本目)