353log

主に映画のあらすじと(まとまりのない)感想文

エル・スール(1983)

エル・スール Blu-ray

エル・スール Blu-ray

ミツバチのささやき(1973)」のビクトル・エリセ監督作品。10年スパンにして2作目の長編だそうで、さらに10年近くあとの「マルメロの陽光(1992)」で今のところ全作品、とのこと。作品の印象と同じく、ゆっくりした時間の流れる監督さんなのかも。

先日観た「ナラタージュ(2017)」に出てきたことから鑑賞しました。松本潤演じる人物が本作を、有村架純演じる人物が「ミツバチ〜」をフェイバリット・ムービーにしている、という設定です。「ミツバチ〜」は観たことがあったのですが、この監督の作品をもう1本観ることになるとはちょっと意外(ストライクなジャンルではないので)。ここまできたら「マルメロ〜」も観ないと…という気持ち。 本作、Prime Videoでも鑑賞できますが課金がお高いです。わたしはTSUTAYA DISCASでレンタルしました。

概要

スペインの北部で暮らす少女エストレーリャと、その父親の関係を描いた物語。まだ見ぬ「南部(=エル・スール)」に父親の秘密が隠されていることを知った少女は、幼いながら好奇心に火をつける。

地味だけど目が離せない、よい映画。

まあ地味な映画だろうなあと思いながら土曜の昼下がりに観始めて、ふむ、また子役が可愛い系ですねとぼんやり眺めていたのですが、あれ、意外と目が離せない…。なんだかんだ95分間、釘付けでした。とてもよかった。「ミツバチ〜」もよかったけれど本作のほうがもっと好きかも。

やっぱり今回も「子役が可愛い系」なのは間違いないです。幼少期のエストレーリャも可愛いし、同じ雰囲気のまま少し成長した少女期の子も可愛い。ふたりとも共通して、笑ったときの悪戯な目元口元がたまりません。好奇心、って感じの顔。ビクトル・エリセ監督は子役のキャスティングが素晴らしいですね。「ミツバチ〜」のアナ・トレントさんも、まだ名前覚えてるくらい印象的です。

幼少期時代は特に佐久間由衣ちゃんっぽいな〜と思ったり、お母さんは松坂慶子っぽいな〜と思ったり、お父さんはサイモン・ペッグっぽいな〜と思ったり(笑) サイモン・ペッグ松坂慶子の間に生まれた佐久間由衣…(雑念)。少女期のエストレーリャは、ランチに誘われたときの紫の服が大人っぽくてまた可愛くて。切ないシーンなんですけどね。核心に迫ろうとしているときの、喉のあたりが脈打ってる感じとか、名演でした。

映像表現のほうでも凝ってるな〜おもしろいな〜と思うところが非常に多い作品でしたが、特にお父さんがカフェで手紙を読んでいるシーン。調律してるピアノの音がずっとBGMになっているという、これ斬新でした。もしかしたら偶発的なものなのかもしれないけれど(撮影を予定していた店でその日ちょうど調律が入っていたとか)(だって脚本書いてる段階で「ここで調律の音を入れよう」とか思います?? 思うのかも…天才なら…)なんとも言えない雰囲気のシーンによく合った「劇伴」でした。「代筆」の手紙も面白かった。

ナラタージュ」と通じるところがあるとすれば、なんといってもこの作品、「ナラタージュ=ナレーションを軸にした回想形式」なんですよね。途中でようやく気付いて「はっ、ナラタージュ!」ってなりました。ストーリー的には、忘れられない人がいるお父さんだとか(「ミツバチ〜」のお母さんも同じく。あと「ナラタージュ」でキーアイテムとなる懐中時計は「ミツバチ〜」にも出てきます、と他の方の記事を見て思い出しました)そんなとこでしょうか。すごい被る!ってほどではないです。

本作が「ナラタージュ」の劇中で映るのは確か、椅子の背にかけられた子供用ウエディングドレス(みたいな、初聖体拝受というカトリックの儀式の衣装)からカメラが引いていくシーンだったと思いますが、ここだけ見ると「うわ、なんかフェリーニっぽい、苦手そう…」という印象でした。スパニッシュな音楽も相まって。なのでだいぶ覚悟してたんですけど、その部分は全体から見てもちょっと特異なシーンで、実際はそこまでクセのない映画でした。「ナラタージュ」で興味持たれた方はぜひ!

(2018年211本目)