Once Upon a Time in America (字幕版)
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ちょうど数日前にB'z関連の記事で「once upon a time in 横浜」というライブDVDを紹介しました。B'zの松本さんは無類の映画好きだった時代があるので、本作のパロディ的なノリでこのタイトルをつけたのかもしれません。このDVDが大好きだったわたしは、かつて「once upon a time」というタイトルのはてなダイアリーもやっていました。縁のあるタイトルです。
あ、で、そうそう、いま見たら何故かPrime Videoで会員特典になってました(笑) というわけで2018年9月末現在、お手軽に鑑賞可能です(尺は長いですが)。ぜひご覧ください。
概要
ブルックリンで生まれ育ったユダヤ系移民ヌードルスとその悪友たちの人生を懸けた絆を、3つの時代を行き来しながら描く長編作品。
229分の完全版でじっくりと
長いんです。でも、二日に分けて観ようかなと思いながら観始めて結局全部観ちゃいました。比較的ゆっくりとした、尺の使い方の贅沢な映画ですが、おもしろかったっていうことなんでしょうね〜。
物語は、ロバート・デ・ニーロ扮するギャング、ヌードルスの少年期、壮年期、老年期がなんの説明もなくスイッチングされていく複雑な構成。観終わってからもう一度最初を観てみると「ああ!」ってなる系の編集です。老年期ヌードルスから見た「once upon a time=昔々」ということで、少年期の悪ガキ時代をたっぷり見せてくれる(「シティ・オブ・ゴッド(2002)」っぽいかも)ため、ギャングものではあるのですがどちらかというとハートウォーミングなほうに心は傾きます。
とはいえのっけからなかなかにバイオレンスでして。ヒロイン級の美貌を持つ女性がいきなり殺されちゃうわ、今にも臓物が出てきそうなほど血だるまにされてる男がいるわ、血糊案件には事欠きません。セクシャルな方面もけっこう過激。拳銃で乳首をいたぶられる女性とか、アレの品評会とか、赤ちゃんのシーンとか(ものは撮りようだなと…)。ベルごとに息苦しくなっていく「鳴り止まない電話」とか、ゴミ収集車のシーンとか、ラストカットとか、エグみの強い演出・描写が非常に多いです。当時のレーティングどうなっていたのだろう。
壮年期ヌードルスの時代は1930年代前半、禁酒法の時代です。禁酒法でギャングというと「お熱いのがお好き(1959)」のイメージ。確かあれも葬儀屋の皮を被ったもぐり酒場が出てきたかと思いますが、こちらでもやはり同じようなことしてます。マイアミリゾートのシーンも似た感じでしたね(人口密度が)。あのホテルにモンローがいたかもしれない、そんな時代。
一応ヒロイン的ポジションなのでしょうか、デボラという女性が登場します。彼女の少女期を演じるジェニファー・コネリーがめちゃくちゃに魅力的! ミステリアスな少女を非常に好演しています。時は経ちレディになったデボラ。こちらを演じているのはエリザベス・マクガヴァンで、遠目の雰囲気はよく似ているのですが近くで見るとちょっぴりの残念感(笑) そんな下膨れてなかったでしょ…! とりあえずジェニファー・コネリー時代をご堪能くださいという感じです。
レオーネ監督とモリコーネと音楽いろいろ
なんとなくジュゼッペ・トルナトーレ監督とごっちゃになっていましたが、セルジオ・レオーネ監督は「荒野の用心棒(1964)」などのマカロニ・ウェスタンで有名な方ですね。言わずと知れた作曲家エンニオ・モリコーネとは付き合いが長く、「荒野の用心棒」でも偽名?を使いつつタッグを組んでいました。思い出しました。
本作のモリコーネはもう、期待通りと言うほかない最高のお仕事をしてくれてます。「ニュー・シネマ・パラダイス(1989)」より前の作品だというのに、「ニュー・シネマ・パラダイス」を超えているのではないかこれは…。
メインテーマ的な曲は「デボラのテーマ」なんですね。この作品におけるデボラってそんな大切だったのか…と思ってしまうアレ。同じくらいの頻度で使われる口笛〜〜なパンフルートの曲はマカロニ・ウェスタンみを感じて、こちらもまたよいです。
モリコーネという作曲家がいるにも関わらず時代をあらわす既存の音楽が多く使われているのも特徴。なかでも印象的なのは老年期に流れるビートルズの「イエスタデイ」で、意外とビートルズの曲が映画でこういうふうに使われてるのってなかなか見ないかも。というか、あまり時代をあらわすのには向いてない気もします(そこんとこ深読み考察されている方がおられて興味深かったです)。
禁酒法が撤廃された1933年マイアミリゾートのシーンでは「コンチネンタル(1934)」からコール・ポーターの「ナイト・アンド・デイ」、「ポーギーとベス(1935初演)」からガーシュウィンの「サマータイム」などが流れます。また、映画の最初と最後にはアーヴィング・バーリン作曲の「ゴッド・ブレス・アメリカ」が。そうそうたる作曲家の名曲を使いまくりですね(笑)
「アマポーラ」も忘れちゃいけません。第二のテーマくらいの勢いで使われまくってます。流れ的にはこっちが「デボラのテーマ」なのでは…?と思うんですが、まあいいか。そう考えるとモリコーネが書き下ろした印象的なメロディはざっくり2曲程度で、ちょっと意外です。でもサントラを聴いてると「アマポーラ」をさも自分の曲のように見事に活かしていて、いずれにせよすごいです。
ロバート・デ・ニーロは出演作の音楽に恵まれていますね。知っているだけでも「ゴッドファーザーのテーマ」「タクシードライバーのテーマ」、そして本作。ぱっとテーマ曲の思い浮かぶような作品が多い。
そんなわけで、いろいろ書ける作品でした。このあいだ浜松の楽器博物館へ行ってきたばかりなので、アヘンのお店のガムランもちょっと気になっちゃったりとか。ネタに事欠かない。
(2018年209本目)
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