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主に映画のあらすじと(まとまりのない)感想文/期間限定でNY旅ブログ連載中

オリエント急行殺人事件(1974)

オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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アガサ・クリスティ原作、シドニー・ルメット監督作品。デビュー作「十二人の怒れる男(1957)」からの遺作「その土曜日、7時58分(2007)」という極端な鑑賞をしてしまったので真ん中あたりの代表作を拝見した次第です(笑) 主演は「その土曜日〜」にも印象的に出演していたアルバート・フィニー。そのほかもオールスターキャストらしいですが、なかでもビッグネームであろうイングリッド・バーグマンは役柄が地味すぎて分からない不覚。

ミステリーなので、もし未見であればネタバレは見ないほうがより楽しめると思います!

あらすじ

その便のオリエント急行はオフシーズンらしからぬ満室だった。居合わせた鉄道会社の重役に客室を確保してもらい、どうにか乗車した名探偵ポアロ。朝食時、ポアロに気付いた初対面の男からボディガードの依頼を受けるも、関心がないと断る。翌朝その男は死体となって発見された。はてどうしたものか。ポアロは乗客から聞き取りを開始、事件の解明に挑む。

雑感

思ったよりミステリーだったけど、思ったようなミステリーじゃなかった的な、こういう話だったんだ!っていう驚きがありました。まず冒頭、思ったよりミステリーなゾーン。5年前の事件を暗い画で振り返りつつ、眩しいストロボで鮮明な状況を見せる手法。こわい! こういうのこわい! 苦手なこわさ! 筋とは全く関係ありませんが最初に大きく出る「1930」のフォントが70年代とは思えないほど今風のフォントでびっくり(調べてみたらまさに70年代の書体だと知りました。ストライプのやつ。おしゃれだなあ)。

オリエント急行(353号!)の発車シーン、特にヘッドライトが点く瞬間はめちゃくちゃかっこいいですね。3点のライト、これでもかという蒸気、遠吠えのような汽笛、優雅な音楽。この音楽がとてもよいです。吹奏楽人的な余談をすると、オリエント急行といえばフィリップ・スパーク作曲の「オリエント急行」という曲が最初に浮かびます。やはり優雅な、流れるような音楽で大好きです(特にブリーズ・ブラス・バンドの演奏が上品な金管バンドサウンドで好き)。 さてそして結末、思ったようなミステリーじゃない後味。雪で足止めを食らっていた列車が動き出し、優雅な音楽が流れ出し、乾杯して解散。「こういう話だったんだ!」です。「十二人の怒れる男」もラストシーンの「解散」がなんとも清々しい作品でした。シドニー・ルメット監督はこういうテイストがお好きなのでしょう。なお本作でも「十二人」はキーワードとなっていて、それこそ「十二人の怒れる乗客」じゃないですか!っていうニンマリ感があります。

十二人の怒れる男」では常に話を遮るようなお邪魔虫がいて苛々させられたものですが、今回はクライマックスの推理シーンを誰も遮らない(というルールを設けている)ため、ポアロのオンステージを堪能できてとても快感です。2つの選択肢がある、ってのがおもしろいなあ。ストーリー上あまり関係なさそうな鉄道会社の重役さんが、何気に大事な役割をしてるんですよね。

ところで、本作の前に鑑賞した「8人の女たち(2002)」。あれっ?と思うくらい共通点が多くておもしろかったです。大雪で閉鎖された空間の密室劇。刺殺され、以降すっかり放置される男。居合わせた人間は全員身内。みんなそれぞれに嘘をついている。ベテラン女優を含むオールスターキャスト。カーテンコールのようなエンディング。奇しくもこれはかなり近い。まあミステリーのひとつの様式なのかもですけどね! だとしたらすごく好きな様式です。

※8人、12人ときて、この次は「オーシャンと十一人の仲間(1960)」を鑑賞予定(笑)

(2018年170本目)