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あらすじ
大財閥の一人娘ヨランダ(ルシル・ブレマー)は、18年間の修道院生活を終えて家を継いだ。しかし自分にはお金や商売に関する知識がないと不安がり、庭の守護天使像に助けを祈り求めるヨランダ。それを偶然見かけた詐欺師ジョニー(フレッド・アステア)は、彼女が相続した遺産を横取りする絶好のチャンスと考え、人の姿を借りた守護天使と称してヨランダの前に現れる。純粋で信心深いヨランダもまた、ジョニーの言う全てを心から信じて疑わなかった。
まさかのファンタジー
「ヨランダと盗賊」って一体そりゃどんなお話なんじゃろかと思ったら、まさかのファンタジー。そして大コケしたそうな。
アステアを守護天使に仕立て上げるというブッ飛び展開に豪勢なテクニカラー、しかし残念ながら興行は振るわず。テクニカラー使わなければまだここまで黒歴史扱いされずに済んだかもしれないのに…!*1 なにせアステア本人も自伝のなかで本作については1ページ足らずしか語ってくれていません(笑) や、そんなにひどくないと思うんだけどな。結構おもしろいんですよ本作、いろいろ凝ってて。
修道院育ちで天上界に対して超ピュアなヨランダと、詐欺師ジョニー扮する偽の守護天使。この二人がどんどんボタンを掛け違えていく様はコメディとしてなかなかに楽しいし、最終的に本物の守護天使が近くにいた〜〜〜!!!っていう展開もおもしろい。そんなにファンタジーだと思わず観てるからすんなり驚けちゃうっていう、アステア映画であることを逆手に取ったミスリードとも言えるんじゃないでしょうか。
本作でアステアはこれといった見せ場がないのですが、「天使だから」という理由でハープを弾かされるシーンはそんなばかなと思いつつも秀逸! ハープのことは詳しくないですけど、アテフリとはいえかなりそれっぽく弾いてると思います。なによりアステアの手がおっきくてですね、ついつい手を見てしまいますね。最後にチューニングペダルで音を変えるところなんてのも、アステアらしい細やかな芸です。動画が転がってないのが残念(このスクリーンショットは予告編映像より)。
アステアが夢を見るシーンでは「巴里のアメリカ人(1951)」の妄想パート的な長尺のダンスシーンが出てきます。本作も「巴里の〜」もヴィンセント・ミネリ監督作品だと知って納得(ヴィンセント・ミネリに大コケのイメージはなかったので少々意外)。全体的に音楽の国籍感が独特で、5拍子のダンスなんかはうわ〜大変そう〜と思いながら観てました。しばらく5拍子が続いてから4拍子に戻ったりするんですよ、あれについてこれるのだからルシル・ブレマー上手いんですね。
本作を観てわたしが連想したのはそのほかに「オズの魔法使(1939)」「素晴らしき哉、人生!(1946)」「足ながおじさん(1955)」など。
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ルシル・ブレマー演じるヨランダの初登場シーンはまさに「オズ〜」のジュディ・ガーランド的ルック。聞くところによればヨランダはジュディ・ガーランドのイメージで書かれたキャラクターだったらしく、そのキャラクターをルシル・ブレマーが演じるというのは当時の観客的には違和感があったみたいです。知らないで観ると別にそこの違和感はないんですけどね。でも、もしジュディ・ガーランドが起用されていたらヒットしていた可能性はあるのかもしれません。
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ファンのなかでも(そもそも転がってる感想の絶対量が少ないですが)あまり評価が高くなさそうに見受けられるので再度フォロー、わたしはこれ結構好きです。確かに正統派なアステアは見れないけれど、そんな作品いっぱいあるじゃない!と。こういう、独特なプロットの作品こそもうちょっと評価されてもいいんじゃないかな〜と思います。
ヨランダのキャラクターに関しては、あのー、それこそ日本で、綾瀬はるか主演とかでリメイクしたら面白いと思うんですよね(笑) あーいうキャラでしょ、つまり!
(2018年162本目)