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主に映画の感想文を書いています

デッドプールから入るX-MENのススメ

この記事は特にこんな人向けです。

  • 映画はそこそこ積極的に観る
  • 流行りに乗ってMCUだけはどうにか追っかけてる
  • X-MENは気になってるけどきっかけがない

もしくはこんな人向けです。

はい、X-MENなんです。というわけで、もれなく当てはまるわたしがズブズブとX-MENの世界にハマっていった記録を書きます。同じような状況の方、ぜひX-MENを攻めてみましょう。話の流れ上ネタバレを書くこともあるので、気にされる方はお戻りください。

デッドプールを観たきっかけ

第一作ですね。こちらを観たきっかけはこうです。

レディ・プレイヤー1(2018)」を観る → 劇中に登場する「ブレックファスト・クラブ(1985)」「フェリスはある朝突然に(1986)」などのジョン・ヒューズ監督作品に興味を持ち、観る → 「フェリス〜」の特徴であるメタ的な作風が「デッドプール」のそれだと知る → 「フェリス〜」エンドロール後のおまけシーンが「デッドプール」でそのままパロられていると知る → 観たい → 観る

ルーツをほじくりたがる性格が大いに発揮された結果の鑑賞ということになります。まずはスピルバーグありがとう。

さて、それで第一作を観てみたところ、とてもおもしろかったんです。

  • 思ったほどお下品映画じゃなかった
  • むしろテーマはシリアスだった
  • でも笑いのキレは最高

わたしに限らず多くの方が「お下品映画」という先入観を持ってるんじゃないかと思います。確かにお下品要素はある! お下品とまでいかなくても、あの変態仮面野郎とにかくよく喋る! が、しかし! なぜ彼=デッドプールがあんなにぺちゃくちゃ喋っているかということにもそれなりの理由がありました。次、ちょっとネタバレします。

俺ちゃんがおしゃべりなワケ

デッドプール、本名ウェイド・ウィルソン。彼がなぜ「デッドプール」になったかという経緯が、じつはこの第一作では約一時間もの時間をかけて描かれます。予備知識を入れずに観たらここで驚くかもしれません。彼は末期ガンで、その治療のせいで顔が醜くなってしまっており、その顔を隠すためにあんなマスクをしています。自分の苦難を笑いで紛らわし続けている男、それがデッドプールなのです。

決してゲスいだけではない映画「デッドプール」、まずはここから、騙されたと思ってご鑑賞ください。大事なことですが、X-MENの知識はまったく要りません! 単品の作品として十分に楽しめる作りになっています。

2を観たらもう引き返せない

デッドプール」はそれ一本で完結する感じのある作品でした。現在公開中の続編「デッドプール2」も、あくまで「その続編」として楽しめます。そして今回もテーマは重め、かつハートウォーミングです。しかしこの二作目でわたしが強く感じたことはこちら。

  • めっちゃ楽しかった……。でも……
  • これ、X-MENの知識あったらもっともっと楽しいんだろうな……

第一作では「知らなくても楽しめたわ〜」で終わったところが、今回は「知らなくても十二分に楽しめた、けど、知ってもっと楽しみたい!」に変わったんですね。これは観ていただくとわかると思いますが、前作よりもX-MENネタ(に限らずアメコミ全般ネタ)と思われるものが増えており、特に最後の最後、「なんとなくわかるんだけど、これちゃんと知ってたらめちゃくちゃ笑えるやつだ! 今からでもいいから知りたい!」っていう仕掛けがあるのです。

わたしのような「関連作をほじくりたいタイプ」の方でしたら、これはもう知識欲から逃げられないはずです。また、「とっかかりがないな〜」と思っていたX-MENシリーズというものに対しても、いつの間にか距離が狭まっているのを感じるはずです。行きましょう、TSUTAYAへ。登録しましょう、Amazonプライムとかその類のやつを。

二週間ほどで一気見

オタク気質ですので、ここから二週間ほどでX-MENシリーズ現時点の最新作まで全て鑑賞しました。X-MENシリーズは現在11作品が公開されています。時系列など意識せずとも楽しめる「デッドプール」を除外すると計9作。多いと思われるかもしれませんがお隣のMCUマーベル・シネマティック・ユニバース)の19作に比べたら余裕ですね!

こちら、公開順の一覧です(デッドプール抜き)。わかりやすいよう色付けをしてみました。手っ取り早く言うとX-MENシリーズは「スター・ウォーズ」タイプです。つまり、まず旧三部作があり、その前日譚としての新三部作があります。そして、スピンオフ作品(デッドプールもこの枠)があります。

時系列は前後しているのですが、X-MENシリーズの悪い特徴として「設定がユルい」というのがあるので、公開順に観ていくのがおすすめです。散らかしすぎて過去の掃除をしにタイムスリップする回まであるほどです。その点、19作目にしてしっかり「うおおおめっちゃ伏線回収していったーーーー」ってなれるMCUはすごいですね(笑)

ヒュー・ジャックマンが要です

まずそもそもX-MENシリーズに誰が出てるのか、よく知りませんでした。思った以上に豪華キャストなのですが、なかでもヒュー・ジャックマンが主人公といって間違いはないでしょう。旧三部作と新三部作でざっくり二世代の時代を描いているX-MENシリーズ、ここでポイントなのはヒュー・ジャックマン演じるローガン(またの名をウルヴァリン)が200年近く生きている不死身キャラだということです。そう、デップーちゃんと同じ境遇。なので、どの時代にも出れるわけですね。

このローガンをより深く描いたスピンオフシリーズがウルヴァリン: X-MEN ZERO」から始まる三作品になります。実際ヒュー・ジャックマンは2000年の「X-MEN」から2017年の「LOGAN/ローガン」に至るまで17年もの間ローガンを演じ続けました。さすがにヒュー・ジャックマンまで不死身なわけではないので「LOGAN/ローガン」を最後に卒業しているのですが、すごいですよね。

ちなみに「デッドプール」との関連度が高いのもこの「ウルヴァリン」シリーズです。何を隠そう、デッドプールはこのシリーズに登場します。役者も同じライアン・レイノルズです。そして、ローガンもまた「デッドプール」に登場します。このあたりの事情が非常〜〜におもしろいので、ぜひ楽しんでいただきたいところです。前述した「設定のユルさ」を逆手に取ったエンタテインメントとも言えるでしょう。

X-MENの意外かもしれないこと

デッドプール」の履修を終えた方はもう既に「ちょっと思ってたのと違うな」という経験をしておられると思いますが、これはX-MENシリーズ全体に対しても抱けるであろう感覚です。わたしがX-MENシリーズを観て「そうなの?!」と驚いたことをいくつか。

  • 有色人種や障害などマイノリティ差別を主なテーマとしている
  • 突然変異の子供たちを保護する学園が舞台
  • 架空の世界ではなく史実に乗っかって物語が展開する
  • ドラマ性が極めて高い
  • 青い女の人はジェニファー・ローレンスである

などなど。「デッドプール」でも半ば茶化すように差別差別と俺ちゃんがブーブー言ってますけど、本筋のほうではここまで重点的にマイノリティの迫害を扱っていたのかと大変驚きました。新三部作の舞台は1960年代アメリカ。最近わたしも映画のおかげでこの時代のことはだいぶ知るようになりましたが、強烈な黒人差別があった時代です。そこを舞台に繰り広げられる突然変異=ミュータントたちの抵抗の物語。わりと「思ってたのと違う」んじゃないでしょうか。

それから! ジェニファー・ローレンス! これはただのわたしの趣向の話ですが! いや、でも、X-MENと聞いたときに「なんか青い人いるよね」って思い浮かべる方、いると思うんですよね。わたしがそうで、しかもそれがなんとなくX-MENというものを遠ざけていた大きな理由だったんですよね。MCUでいうと「ハルク」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」、要はカラフルな肌色のキャラクターが苦手だったのですよ。テーマを知った今となっては皮肉な話ですけど。

はい、いますね「青い人」。この人、旧三部作ではそこまで掘り下げられないんです。でも新三部作に入ってから一気にフィーチャーされ始め、よく見たらジェニファー・ローレンスなんです。ミスティークというこのキャラクターは容姿を自由自在に変えられるミュータントで、基本は青いのですが普段はジェニファー・ローレンスの姿(お馴染み、ブロンドのファニーフェイス)で過ごしています。普通の人間の容姿もできる彼女がなぜ敢えて旧三部作では「青い人」を貫いていたのか、という理由については新三部作で描かれます。

ていうかぶっちゃけ「あの青い人」がジェニファー・ローレンスだと知ってたらもっと早く観たと思うので、ここを読んでくださっているみなさんに声を大にしてお伝えしておきます(笑) この記事を書きたかった一番の理由です(マジかよ)(マジです)。

大河ドラマの終わりを味わってください

そうやって見進めると、2018年現在での(デッドプールを抜いた)最新作「LOGAN/ローガン」に辿り着きます。その頃にはX-MENの世界に思い入れが深まりまくっていることでしょう。ヒュー・ジャックマンの卒業作ということは、つまりそういうことになります、よね。そういうことになるんです。大河ドラマを観てきた者にしか味わえない爽やかな喪失感、ご堪能ください。

シリーズ自体はまだまだ続くようなので今後どうなっていくのかは知りませんが、少なくとも現時点までのX-MENシリーズ、「デッドプール」がお気に召した方なら一気見でかなりハマれると思います。ぜひ、一歩踏み入れてみてください!

ご参考までに、わたしのハマっていく様をどうぞ。

ちなみに一通り見終えてから「デッドプール2」は再度劇場へ観に行きました。そりゃもう、格段に楽しかったです。

【追記(2020.07)】2019年の「X-MEN: ダーク・フェニックス」でひとまず終わったみたいですね。評価は芳しくなかったようですが、個人的にはとても楽しめた作品でした!