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主に映画の感想文を書いています

X-MEN: アポカリプス(2016)

X-MEN」シリーズ通算9作目。8作目にあたる「デッドプール(2016)」は鑑賞済のため飛ばします。

あらすじ

古代エジプト。人類初のミュータントとされるアポカリプスは「エン・サバ・ヌール」の名で崇められ肉体を乗り換えながら生き永らえていたが、あるとき反逆者の手によって長い眠りにつく。

1983年。ひょんなことからアポカリプスが覚醒。再び世界を自分の手中に置くため従者探しを始め、マグニートーがそのひとりとして選ばれる。マグニートーセレブロ経由で説得していたプロフェッサーXも、セレブロに入り込んできたアポカリプスによってさらわれてしまう。プロフェッサーを救出し、マグニートーを止め、アポカリプスを倒すべく、ミスティーク、ハンク、若きジーンやサイクロップス、じつはマグニートーの息子であったクイックシルバーなどが力を合わせ戦う。

またよくわかんなくなってきた

前作「フューチャー&パスト」ですっきり整理された!と思いきや、同じ監督なのにまた結構ぐちゃぐちゃにかき混ぜられております。だめだ、早くもぜんぜんわかんない。どうしよう。

アポカリプスとかいう多分サノス的なやつが年表をぐぐぐいっと伸ばしまくってくれちゃってますがちょっとスケール大きすぎるんで置いとくとして、今作で中心に据えられているのはむしろ若者、ティーンな皆さんかもですね。えらく肩パットの入った若きジーン、入学したてで能力を制御しきれてないサイクロップス、前作に引き続き大活躍のクイックシルバー、スリラーなジャケット着てるナイトクローラーなどなど、ミュータント・ティーンズの成長が描かれています。

ジーンは能力に起因する超強力な悪夢で困らされてる様子。この強すぎる能力を抑えるためにプロフェッサーが封じ込めてあげた(「ファイナル ディシジョン」での件)のかな?とも思いましたがそういうわけでもなさそう。映画館で「スター・ウォーズ ジェダイの復讐(1983)」を観てきたジーンが「どの映画も三作目はサイテー!」って吐き捨てるとこは爆笑ポイントでした。うんうん、君は特にそうだよね〜!

のちのサイクロップスであるスコットは、あら記憶に新しい顔だわ。「レディ・プレイヤー1(2018)」主演のタイ・シェリダンじゃないですか。まさかのゴーグルキャラ被り。ひとりオアシスへ行ってしまいそうな彼は、最初からジーンにゾッコンだったのでした。また、ローガンが一瞬カメオってきた時も彼だけは「もう会いたくない…」と生粋のローガン嫌いを発揮しております。初対面なのに。

前作でのスーパースローが印象的だったクイックシルバーは、今作さらに大活躍! もはやお決まりとなった「瞬く間のスーパースローお助け大作戦」、何度見ても楽しめますね(そういえば「デッドプール」も冒頭いきなりのスーパースローだったし、今作は音楽の使い方なども含めデップーちゃん路線との合流が始まってきているように思います)。加えて「じつはマグニートーの息子でした」っていう設定も加わり、フィジカルメンタルともに見せ場の多いキャラクターになっていました。唐突に「ジェダイの復讐」が出てきたのは「父子の物語」的なリンクもあるのかも。

意外なポジションで登場するのちのストームは、部屋にポスターを貼るほどのミスティークファン。終盤のバトル中、青い姿を見せたミスティークにハッとするシーンが効いてます。ミスティーク本人はこれといって変わらずですが、ナイトクローラーと親子設定らしいです。その件、映画のなかで出てきたかしら…? それともただの裏設定…?

いつもいつも(わたしの)土下座案件が発生してしまうハンク、今回はサイクロップスのゴーグル作ったりしてました。ほんとごめんな。でも今回もやっぱり誰かに「何だそれ?!」ってビースト姿ビビられてたよね…。そういやハンクに聞きたいことがあるんですけど、あのタイプの現行セレブロっていつからあるんです? 「フューチャー&パスト」の1973年時点で埃かぶってる感じだったでしょ。「ファースト・ジェネレーション」の1962年時点だとまだ試作段階だから、そこから数年以内って感じなのかな。あと、昔のほうがデザイン洗練されてるよね(笑)

ハゲます

うっかり鑑賞前に知ってしまった特大ネタバレ、それは「今回ハゲるよ」ということ。やーついにきたかーマカヴォイつるっつるになってしまうんかー。ええとですね、この情報はなるべく入れずに観たほうが幸せです。というのも、今か今かとハゲるのを待ち構えてしまうから。セレブロで苦しんでいる姿を見て、心配する前に「ハゲるか?!?!」とか思ってしまうから。他人の毛根事情を気にしながら観る映画ってなんだ。でまあ、ハゲます。なあハンク…。さすがの君も、そこは抗えなかったんかい…。

プロフェッサーといえばすごい今更なことですが、スーパーヒーロー映画のメインキャストが車椅子に乗っているという設定はやはり「X-MEN」シリーズの持つマイノリティ擁護思想が出てるところなんだろうなと思いました。

さてそれから今回またとても可哀想なマグニートー。もとを辿ればホロコーストで親を殺されているというのに、またしても妻と娘を殺されてしまう…。ただ、他所の感想ブログで見かけた「よりによって鉄工所で働くなよ」っていうのは非常にごもっとも(笑) そんなマグニートー、今作では「まだ家族がいるよ」っていう希望=クイックシルバーが現れ、お決まりの「結局去るんかい!」っていう袂わかちコントも「元気でなブラザー」的な明るいムードがあり、ボジョレーヌーボー風に言えばここ数作で最高の別れだったんじゃないでしょうか。

えーと、まだモイラとローガンに触れていないか。なんせ今作あまりにもイチから作り直してる感が強くて、出てくるキャラクターみんなに言いたいことがありすぎる。モイラは意外と重要どころで出てきましたね。チャールズがセレブロをいやらしい用途で使っていたくだりでは胸があたたかくなり、消されていた「キューバの海岸」が蘇ってくるあたりは涙腺が緩みました。でもわたし見逃してません、瀕死のチャールズをモイラがいち早く「もうダメ死んでる」って見放そうとしたこと。軽っ! あんたチャールズ歩けなくしといてそんな! …いや、記憶ないのか、しゃーないか。

で、ローガンですね。カメオとはいえ、だいぶ見逃せない案件があります。なぜアルカリ湖で捉えられてる?? なぜアダマンチウムのツメが出てきちゃってる?? 前作ラストでミスティークがストライカーに化けて歴史を変えたはずでは?? 結局逃げられない運命だったの??

そのへんは、次作「LOGAN/ローガン(2017)」を観てからあらためて、でしょうかね…。ついに2018年時点での「X-MEN」レース、完走が近づいてきました。

(2018年127本目)