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主に映画の感想文を書いています

X-MEN: ファースト・ジェネレーション(2011)

X-MEN」シリーズ5作目。

概要

シリーズ前作「ウルヴァリン: X-MEN ZERO(2009)」で主となった時代よりもさらに前を描いた前日譚。プロフェッサーXとマグニートーの幼少時代、ふたりの出会いと結束、そして袂を別つことになった経緯などが描かれている。また、のちにマグニートーの側近となるミスティークの人物像についても掘り下げられている。

前日譚はおもしろい

第1作「X-MEN(2000)」のアバンタイトルになっていた収容所シーンが今回も同じくアバンタイトルになってます。なにせ一番最初に見たシーンなため、当初は「ローガンなのかな?」くらいに思ったっきり忘れてましたが、マグニートーだったんですね。腕の番号を見せるシーンが何度もあったのでなんとなく繋がってはいたけれど、シリーズ最初のシーンがマグニートーから始まっていたというのはちょっと意外。あと、あのダサいヘルメットがもともと憎っくき敵のアイテムだったのはおもしろ設定。しかもソ連製。

そしてのちのプロフェッサーX、チャールズ。幼い頃から突然変異によるミュータント化に自覚的かつ肯定的で、しかも最初にミスティーク(ずっと「青い人」とか言ってましたがそろそろ名前覚えましょう)と懇意にしていたのはチャールズのほうだったという。本作ではミスティークの人物描写に比重が置かれていたのが良かったです。あれは「X-MEN2」だったか、「いつも変身してたらいいのに」と誰かに言われるシーンがあって全くその通りだと思ってたんですけど、あくまで「青い人」でいようとする理由がちゃんとあったとは。

本作で9割方「変身」しているミスティークを演じているのはジェニファー・ローレンス。まじか! やっぱりずっと変身しててほしかった! 最初の3部作だけ見てると「あの青い人、普段無口なのに変身するとキャラめっちゃ変わらない…?」ってな違和感があったところ、なるほど元の彼女は陽気な女の子だったのねという納得感。しかしジェニファー・ローレンスは陽気なシーンでもどこか切なく見えてしまいますなあ。

青年チャールズを演じているのはジェームズ・マカヴォイ。好き! 顔面が好き! なんでマカヴォイ髪なくなってしまうん…。いや確かに若年性ハゲになりそうな髪質には見えたけど多分そういうことじゃないんだろうな(笑) 彼がパトリック・スチュワートになってしまうとは…。しくしく。車椅子もそんな内輪な理由だったとは…。モイラって「ファイナル ディシジョン」の最後に出てきた人ですよね。恋仲なうえに、「X-MEN」の名付け親だったのか。

こないだ「お前誰やねん!!」って言ってしまった「青い野獣」もなるほど、そのような経緯が…。セレブロも君が…。なんなら、ほとんど君が…。ひどいこと言ってごめんな…。いや、まあ、後からどうとでも作れるエピソードではあるんですけど(とはいえマーベルものは原作コミックという存在があるためテキトーなことも言えないのがつらい。ビーストもしっかり設定があるのであろう…)、説明の補完という意味でも本作とても良いです。

そう、というわけで前置き長くなりましたが前日譚はおもしろいですね! スターウォーズ的に言えば新3部作のほうであり、わくわく度では「ローグ・ワン」に近いかも。後付けだろうとなんでもいいです、「ああ!あれはこういう!そういう!」っていうのが次から次に出てくるのはすごく楽しいしスッキリします。と同時に、やはり「ファイナル ディシジョン」でもっと丁寧に描いとけよ!と苛立ってくるのも確かではあります(まだ文句が言い足りない)。

やったね1960年代だよ

本作の主な舞台は1960年代の米ソ冷戦時。最近わたしのなかでアツい時代!(いや冷えてるんですけどね…) マグニートーの当初の敵だったセバスチャン・ショウがキューバ危機を企んだという設定になっております。史実に乗っかったストーリー展開なのは意外だけどおもしろい。CIA本部のあるバージニア(人種差別が激しかった地域)が登場するのも、差別問題のメタファーとしての「X-MEN」シリーズ的には深い含みがありそうな感じ。

大きな円形テーブルの会議室を見てキューブリックの「博士の異常な愛情(1964)」を連想したんですけど、まさにあれってキューバ危機の時代を描いた作品だったんですね。観た当時はまったく知らなかったしなんなら興味もなかったです。今ならだいぶ興味を持って観れると思います。あと、あの会議室のセットがアステア映画から影響を受けているとかいうのも知らなかった(笑) そんなところにまで影響を…。

などなど、思いのほか楽しめてしまいました。「X-MEN」シリーズの鑑賞順を調べているときに時系列で本作からの鑑賞を勧めているものも見かけたのですが、公開順に観てきた感想としてはやっぱり公開順のほうが楽しめるはずです。特に本作は「あれはこういう!そういう!」を楽しむ作品になっていると思うので、順番に観て、「ファイナル ディシジョン」にも釈然としない思いを抱えつつの本作、という流れでのカタルシス(としておいてやるよ!)がおすすめです。

さて、またどんどん次いってみよう。あ、そういえばローガンのカメオ出演、笑いました。時代的にはまだアダマンチウム施術前ですよね。そこから半世紀くらい経ってまた再会するのか。奇遇だな。

(2018年124本目)