353log

主に映画のあらすじと(まとまりのない)感想文

「シェイプ・オブ・ウォーター」に招かれて

2018年マイベストムービーに最有力ノミネート中のシェイプ・オブ・ウォーター(2017)」。こんなに関連作を観漁ったのは「ラ・ラ・ランド(2016)」以来かもしれません(「ラ・ラ・ランド」に招かれて - 353log)。これまでの関連記事でも散々触れてはいますが一度まとめてみます。

【感想記事】
シェイプ・オブ・ウォーター(2017) - 353log
シェイプ・オブ・ウォーター〈オリジナル無修正版〉(2017) - 353log

大アマゾンの半魚人(1954)/半魚人の逆襲(1955)

REVENGE OF THE CREATURE [DVD]

REVENGE OF THE CREATURE [DVD]

何か関連作を観てみよう、となったとき、確実にマストな作品です。ギレルモ・デル・トロ監督が「シェイプ・オブ・ウォーター」を作ろうと思ったきっかけがここにあります。

物語的には、「大アマゾンの半魚人」が「シェイプ〜」の前日譚。研究所に連れてこられる前の半魚人はどんな場所でどんな生活を送っていたのかが見れます。そして続編「半魚人の逆襲」が「シェイプ〜」のパラレルワールド。イライザもホフステトラーもおらずストリックランドがやりたい放題な世界です。

「大アマゾン〜」のほうだけでも十分なのですが、元ネタ的要素は「半魚人〜」のほうが多いので、可能なら2作とも観ておくのがおすすめです(なお3作目もあるんですけど未見です)。この2作を通っておくと、「シェイプ〜」ラストの水中シーンでものすごくエモーショナルな気持ちになれます。 豆知識としては、マリリン・モンローがスカートめくれ上がっちゃう直前に観ていた映画は「大アマゾン〜」です(1955年というリアルタイムに公開された「七年目の浮気」、是非あわせてどうぞ)。

【感想記事】
大アマゾンの半魚人(1954) - 353log
半魚人の逆襲(1955) - 353log

ドリーム(2016)

イチオシ作品です。これを観ると、人種差別や宇宙開発競争といった「シェイプ・オブ・ウォーター」の時代背景がよくわかります。そんなの知ってるよ、っていう方にはもちろん不要ですが、学生時代ちっとも学んでこなかったわたしにとってはすごく大きな作品でした。ゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーが主役級で出ています。

「シェイプ〜」の舞台は1962年のメリーランド州ボルチモア「ドリーム」は1961年のバージニア州ハンプトン、かつNASAが舞台です。アメリカ南部であるバージニア州のほうが差別問題は深刻だったようで、東部メリーランド州を舞台にした「シェイプ〜」よりもエグく印象的な描写となっており、嫌でも認識が深まります。有色人種、同性愛者、障害者といった人たちが「同じ人間として見られていない」この時代の空気感を知ることが、「シェイプ〜」の理解を深めると思います。

またNASAが舞台ということで、「シェイプ〜」のほうも航空宇宙研究センターが舞台ですが、米ソ間の宇宙開発競争というものが当時どれだけ大きかったかという理解の助けにもなります。ソ連のスパイだったホフステトラーというキャラクターにもリアリティが感じられるようになります(スパイ事情については裏切りのサーカス(2011)」などのスパイ映画を観たことでより分かりやすくなりました)。

ほかに同じ時代を描いた作品として、1962年ボルチモアという完全一致な「ヘアスプレー(2007)」、「レディ・プレイヤー1(2018)」への抜擢で日本でも一躍有名になったかもしれないロボットアニメアイアン・ジャイアント(1999)」なども鑑賞。まったく作風は違いますがどちらも素晴らしい作品でした。

【感想記事】
ドリーム(2016) - 353log
ヘアスプレー(2007) - 353log
アイアン・ジャイアント(1999) - 353log
裏切りのサーカス(2011) - 353log

艦隊を追って(1936)/踊るニュウ・ヨーク(1940)

艦隊を追って THE RKO COLLECTION [Blu-ray]

艦隊を追って THE RKO COLLECTION [Blu-ray]

イライザと「彼」がモノクロの世界で踊る、終盤の印象的なシーン。こちらはその元ネタになります。とりあえずこの動画を観ていただければ「ああ!」かと思います。

これは「艦隊を追って」のシーンです。出演しているのはフレッド・アステアジンジャー・ロジャースという、一世を風靡した大スター。同じコンビで9作も映画を作った、と言えば風靡っぷりもお分かりいただけるでしょう。このふたりの名前を覚えておくと、一見関係なさそうな作品でも「あっ!」と思える瞬間が多々あります。特に「アステア」は台詞に出てくる率がものすごく高いので、好きになっておくと楽しいですよ!

「シェイプ〜」での該当シーン、全体的なルックは「艦隊を追って」ですが、後ろに煌めく電球やオーケストラなどは「踊るニュウ・ヨーク」をイメージしているそうです。「ラ・ラ・ランド」でもこの光の雰囲気はオマージュされていましたね。

こちらも男性ダンサーはフレッド・アステア、女性ダンサーは変わりましてエレノア・パウエルが演じています。エレノア・パウエルジンジャー・ロジャースと同じくらい有名な名ダンサーです。とにかくこの時代のミュージカル映画はアステアを筆頭に名ダンサーたちの超絶技巧に圧倒されること間違いなしですので、タップダンスなどに興味のある方はどっぷりのめり込めると思います。ぜひ、こちらの世界へ。

【感想記事】
艦隊を追って(1936) - 353log

デリカテッセン(1991)

お前これパクリじゃねーの?ってジャン=ピエール・ジュネ監督に訴えられちゃった少々いわくつきの作品。盗作疑惑がかけられたのはソファーに座りながらのタップダンスシーンですが、まあ似てるのは確かです。ただ同様のシーンとしては、こちらも「ラ・ラ・ランド」でオマージュされていた「踊らん哉(1937)」のダンスシーンなど、もっとルーツとなるようなものも存在しているのでなんとも言えませんね。

でもじゃあなんで挙げたかっていうと、「バスルーム騒動」のくだりが完全に一致レベルなんです。ドアを開けたら水が溢れてくるやつです。むしろこっちに疑惑かけよ???忘れてた???とジュネ監督に問い詰めたくなります(笑) 同じジュネ監督だと「アメリ(2001)」も「シェイプ〜」と通じる雰囲気を持った作品ですね。

いまのところ観たのはこれくらいです。終わり方が同じ!と言われているデル・トロ監督のパンズ・ラビリンス(2006)」などもありますが、必修科目というほどでもないかと思います。むしろ全然共通点なさそうなパシフィック・リム(2013)」のほうが「ラボの雰囲気、同じじゃん!」みたいなところで感動しました。同じ監督って感じ、すごいする。

そんなにいっぱい観れないよ、という場合はとりあえず「大アマゾンの半魚人」を。そんな古い映画TSUTAYAになかったよ、という場合は「ドリーム」を、ぜひどうぞ。「大アマゾン〜」、わたしは手っ取り早くBlu-rayを買いました。特典映像もいっぱいで、「シェイプ〜」が好きなら買って損なしです!

【感想記事】
デリカテッセン(1991) - 353log
パンズ・ラビリンス(2006) - 353log
パシフィック・リム(2013) - 353log

聴いておくと楽しい

おなじみ町山智浩さんや宇多丸師匠がラジオで解説したものはとてもおすすめです。お二方ともとにかく熱がすごい(笑) わたしも基本的にこれらの解説で挙げられている作品を鑑賞したかたちになります。

200円程度の有料コンテンツになりますがこちらの解説音声もかなりおもしろいです。100分もありますから、とにかく情報を仕入れたい向きにはうってつけじゃないでしょうか。

というわけで「シェイプ・オブ・ウォーター」にずぶずぶ引き込まれた被害報告でした。同じような方々の参考になれば幸いです。