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主に映画の感想文を書いています

2020年の作品

2度目の「ミセス・ノイズィ」ほか、シネマチュプキ鑑賞メモ('21/06/06)

雑記的あれこれ。今日は午前中に「ハングル能力検定試験」通称「ハン検」の5級を受けてきました。自己採点では合格ラインだと思うのだけど……はっきりしてからネタにします(しかしはっきりするのは一ヶ月後なのである)。 試験会場は専修大学の神田キャンパ…

映画「ミセス・ノイズィ(2020)」感想|視点って、だいじ。

やらなきゃいけないこととやりたいことが火花を散らしている今日この頃、とりあえず今この瞬間なにも生み出していないのでせめて映画の感想を書いておくことにします。 今回鑑賞したのは『ミセス・ノイズィ』。劇場で見逃していたという以前に何だか聞き覚え…

ショートムービー「もぎりさん」ほか、シネマチュプキ鑑賞メモ('21/05/24)

昨日は平日休みだったので、田端のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」で3本観てきました。もちろんすべて音声ガイド&日本語字幕付き。晴眼者であっても音声ガイド付きで映画を観るのは楽しいのです。 現在チュプキでは大九明子監督の『勝手…

ドキュメンタリー「トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして」をNetflixで観た

Netflixで『トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして』というドキュメンタリーを観ました。 愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」にてライムスター宇多丸さんが紹介しており知った本作。番組内での初出はこちらから聴けます(5:20…

映画「佐々木、イン、マイマイン(2020)」感想|とある佐々木の思い出話(エモーション)

配信も解禁されたばかりの映画『佐々木、イン、マイマイン』を観ました。このポスター、どえらくかっこいいですね。本編のオープニングでもバーンと画面全体を覆う白い題字につい見惚れてしまいました。タイポグラフィとして完璧だと思う。でもちなみにこの…

短編映画「愛してるって言っておくね」「隔たる世界の2人」感想|第93回アカデミー賞短編アニメ賞・短編映画賞受賞作

第93回アカデミー賞にて「短編アニメ映画賞」「短編実写映画賞」に輝いた短編2作『愛してるって言っておくね』と『隔たる世界の2人』をNetflixで観ました。最近ちょっと映画観る時間がないのよね、と思っていたところにちょうどいいのが来てくれました。 約1…

映画「電車を止めるな!(2020)」感想|千葉の鉄道会社が起死回生をかけて自主製作した珍作

千葉の鉄道会社「銚子電気鉄道」が自主製作した映画『電車を止めるな! 〜のろいの6.4km〜』を観ました。経営難による鉄道存続の危機を脱するべくクラウドファンディングで500万集めて作った映画、ということなんですがちょっと既視感が強すぎて困ります。 …

映画「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道(2020)」感想と余談|秩父の消えゆく集落を18年間取材したドキュメンタリー

ドキュメンタリー映画『花のあとさき ムツばあさんの歩いた道』を観ました。 埼玉県秩父の消えゆく集落を2001年から18年間(!)にわたり取材したNHKドキュメンタリー番組7本の再編集版で、このシリーズの存在は今回初めて知ったのですが、じゃあなぜ観たの…

映画「アンモナイトの目覚め(2020)」感想|同性愛というだけで類似作品になってしまうのだろうか、と自問自答ぶつぶつ。

うつ病を患った上流階級の女性と古生物学者の女性が心を通わせていく物語で、主演はケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナン。1800年代前半を生きた実在の古生物学者メアリー・アニングをケイト・ウィンスレットが演じています。非常に重要な発見をし…

映画「私をくいとめて(2020)」感想|プロのおひとりさまには共感の嵐。そしてコロナ禍映画でもあった!

『勝手にふるえてろ』も最高だった大九明子監督の新作で、のん(能年玲奈)さんが主演です。ざっくりの物語は、30代おひとりさまのヒロイン「みつ子」が脳内相談役「A」とあれこれ自問自答しながら人生していくというもの。『勝手にふるえてろ』同様、独り言…

映画「ミナリ(2020)」感想|表面的に観ても味わい深いが、町山さんの解説を聴くと数段深まる。

現在公開中の映画『ミナリ』を観ました。主演のスティーヴン・ユァンはじめほとんどのキャストが韓国系ですが舞台はアメリカで、お馴染みA24とPLAN B製作のアメリカ映画ということになっています。 ポスターなどに書かれている最低限のあらすじは「農業の成…

映画「DAU. ナターシャ(2020)」感想|エンタメ作品としては疑問あり。メイキングには興味あり。

これは無責任におすすめできません。今週末から劇場公開されているロシア映画『DAU. ナターシャ』を観ました。 「ムービーウォッチメン(fromアトロク)」の課題映画に選ばれたこともあって観ようと思っている方そこそこいらっしゃると思うのですが、だいぶ…

映画「ソウルフル・ワールド(2020)」感想|大人のためのヒーリング映画

ようやくDisney+に加入したので、自己肯定感を上げてくれると評判のピクサーアニメ『ソウルフル・ワールド』を観た。いやはやこれは、完全に大人のためのヒーリング映画ですわね。プラネタリウムで上映してくれたら最高。 主人公はプロミュージシャンを夢見…

音声ガイド付きで映画「音響ハウス」「ようこそ映画音響の世界へ」 を鑑賞 〜バリアフリー映画館シネマ・チュプキさんの取り組みについて〜

JR田端駅近くのバリアフリー映画館シネマ・チュプキ・タバタさんにて、『音響ハウス』と『ようこそ映画音響の世界へ』のドキュメンタリー映画2本を音声ガイド付きで観てきました。 先日『愛がなんだ』を観た際に映画のバリアフリー化に興味を持ち、シネマ・…

映画「ザ・コール(2020)」感想|電話一本で未来は変わる。タイムパラドックス系スリラーの新たな名作!

Netflixで独占配信されている韓国映画『ザ・コール』を観ました。「20年前と電話が繋がっちゃった」というところから始まるタイムパラドックス系スリラーで、ちょっと感動しちゃうくらい面白かったです。超おすすめです。 主演はパク・シネさんとチョン・ジ…

映画「サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜(2020)」感想|ミュージシャンが難聴になるという、恐ろしく身に迫る話〈ドラマー視点レビュー付〉

Amazon Studios製作、PrimeVideoで配信中の映画『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』を観ました。難聴になってしまったミュージシャンが「聞こえないということ」と向き合う過程を描いた作品です。 本作を知ったきっかけは例によって『アトロ…

映画「ザ・ハント(2020)」感想|社会派と見せかけた、めちゃめちゃ楽しい人間狩り映画

いきなり罵倒してすみません。去年観そびれた『ザ・ハント』を立川シネマシティさんが上映してくれていたので観てきました。 やれトランプが批判してきて公開延期になっただとか、とにかくなんか過激な社会風刺映画なのだろうというイメージがあった本作。ア…

映画「KCIA 南山の部長たち(2020)」感想|朴正煕大統領暗殺事件を題材にしたハードボイルド・ブロマンスなフィクション作品

今週末から公開になった韓国映画『KCIA 南山の部長たち』を観てきました。韓国では昨年の興行収入第一位を記録している映画だということですが扱っている題材は重く、1979年の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領暗殺事件についての作品です。 自ら築いた独裁的…

映画「Swallow/スワロウ(2020)」感想|「アトロク」の猛プッシュで鑑賞。異食症と人生の物語。

1/1から劇場公開されている映画『Swallow/スワロウ』。わたしの推しラジオ番組「アフター6ジャンクション」でこの作品が2週連続で特集されるという異例の事態が起きまして、気になってしょうがないよ!と観てきました。 「アトロク」こと「アフター6ジャン…

映画「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち(2020)」感想|その歴史から失禁ドライブ体験まで。映画ファン必見のドキュメンタリー

「車に撥ねられる練習は、実際に撥ねられるしかない」「火だるまは得意」──予告編で見たパワーワードの数々に、これは絶対観なきゃと思っていたドキュメンタリー映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』を観てきました。 映画やドラマ…

映画「新感染半島 ファイナル・ステージ(2020)」感想|新年一発目、まあウイルスに打ち勝てそうではある。

2021年一発目は元日公開の韓国映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』を劇場にて。『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』の続編ですが、同じ世界線を舞台にした全く違う話なので前作未見でも問題はありません。 あらすじ 人間をゾンビ化させてしま…

映画「ワンダーウーマン1984(2020)」雑感|ガル・ガドット様への「好き」を再確認

DCエクステンデッド・ユニバース『ワンダーウーマン(2017)』の続編『ワンダーウーマン1984』を観ました。コロナ禍の延期に次ぐ延期でようやく!!という感がありますが、いざ観てみるとラストシーンがクリスマスだったりして、これって本来の6月に公開され…

映画「おらおらでひとりいぐも(2020)」雑感|75歳一人暮らし、おばあちゃんのインサイド・ヘッド

沖田修一監督の作品『おらおらでひとりいぐも』を観ました。若竹千佐子さんによる同名小説を実写化したもので、訛りまくったタイトルの意味は「私は私らしく一人で生きていく」。ちなみに『Ora, Ora Be Goin' Alone』という英題が付いています。無駄にかっこ…

鬼滅知識ゼロの人間がいきなり「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」を観た感想

少年漫画とは縁の浅い人生を歩んできたわたし、今ここに『鬼滅の刃』というタイトルを打ち込むだけでなんともいえない場違い感を覚えております。どうもすみません。というわけで社会現象こと「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」、一切の予備知識なく観てきま…

黒沢清監督作品「スパイの妻〈劇場版〉(2020)」雑感|太平洋戦争前夜の日本を舞台にした愛憎サスペンス

公開初週は時間がとれず行けなかった『スパイの妻〈劇場版〉』、2週目に入ったら鬼滅さんの影響もあってか上映回数が早くも激減していてこれはまずいと思い、急いで行ってきました。黒沢清監督の最新作にして、第77回ヴェネチア国際映画祭で日本人としては17…

京都国際映画祭2020の大林宣彦監督特集を観た③【「この空の花」「野のなななのか」メイキングと、特別対談】

この記事の続きです。 京都国際映画祭2020の特集『大林宣彦の玉手箱─ワンダーランドな空想映画館─』では、メイキング・ドキュメンタリー作品も上映(配信)されていました。ここではメイキング2作品と、映画祭の特別対談について書きます。 目次 映画の根「…

Netflix映画「エノーラ・ホームズの事件簿(2020)」雑感|強く逞しく可愛いミリボビちゃんが見れて満足

Netflixオリジナルの映画作品として配信されている『エノーラ・ホームズの事件簿』を観ました。主演は『ストレンジャー・シングス』シリーズのミリー・ボビー・ブラウン。シャーロック・ホームズの妹(という設定の)エノーラを主人公とした同名小説が原作で…

映画「TENET テネット(2020)」雑感|時間の逆行は身体的負担が大きい(体調のいい日に観ましょう)

クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』をIMAX鑑賞しました。かなり前から予告を見ていたので、ついに公開されたのかという感じの作品ですね。ネタバレらしいネタバレはありません(ネタバレできるほど理解してないし)。 出演は『ブラック…

映画「アルプススタンドのはしの方(2020)」雑感|じつは悔しいのかもしれない自分語りの巻

城定秀夫監督の映画『アルプススタンドのはしの方』を観ました。高校演劇の人気演目を原作とした作品で、甲子園を舞台としながらもグラウンドや選手の姿は一切登場せず、「アルプススタンドのはしの方」だけが映り続ける映画です。 夏の甲子園一回戦、アルプ…

大林宣彦監督作品「海辺の映画館─キネマの玉手箱」の好きなところをひたすら書きます

大林宣彦監督による永遠の最新作『海辺の映画館─キネマの玉手箱』。公開日の翌日には「とりあえず書き留めておく感想未満の何か」というかたちで感想未満の何かを書きましたが、このたび2回目の鑑賞もしてきましたので今度こそ感想を書きたいと思います。 3…