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主に映画の感想文を書いています

大林宣彦

大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」2回目の雑感|脚色のことや、ありったけの感想など

池袋・新文芸坐さんの2本立てで、大林宣彦監督の「新・尾道三部作」1〜2作目にあたる『ふたり』と『あした(1995)』を観ました。とはいえ『ふたり』はつい一週間ほど前にBlu-ray(新たにリリースされたもの)を購入して観たばかり。こんなにもすぐにスクリ…

大林宣彦監督作品「あした(1995)」雑感|終始美しいグランドホテル形式ファンタジー

池袋・新文芸坐さんにて大林宣彦監督の『あした』を劇場鑑賞しました。監督の生まれ故郷・尾道を舞台にした「新・尾道三部作」の1本目で、つい先日観たばかりの『ふたり(1991)』が2本目となります(今回こちらも同時上映だったので併せてスクリーンでの鑑…

大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」本編と、“ウソからマコト”極まるメイキングの雑感

4月に大林宣彦監督が亡くなり、どれか観てみようかなと思っていたところで最初におすすめいただいたのが『ふたり』でした。調べてみると確かにとても人気の高い作品、しかし配信がどこにもない! 最寄りTSUTAYAも潰れて久しいわたしは諦めて『HOUSE/ハウス…

「EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ」は確かに凄かった|自主映画時代の大林宣彦監督作品雑感・16mm編

商業映画デビュー以前の大林宣彦監督作品を集めたDVD『大林宣彦 青春回顧録 DVD SPECIAL EDITION』を購入、鑑賞しました。前回の記事ではDISC1の8mm作品6本について書きましたが、今回はDISC2に収められている16mmの4作品を紹介します。 なかでも1966年の『E…

自主映画時代の大林宣彦監督作より「絵の中の少女(1958)」ほか雑感

商業映画デビュー以前の大林宣彦監督作品を集めたDVD『大林宣彦 青春回顧録 DVD SPECIAL EDITION』を購入、まずはDISC1に収められている8mm作品6本から観ました。 なお制作年に関してパッケージ上とその他資料で違いがあったため、ここでは著書等にフィルモ…

終戦から75年の日、池袋・新文芸坐で大林宣彦監督の戦争三部作「この空の花」「野のなななのか」「花筐」を観た

池袋の名画座・新文芸坐さんにて、「追悼・大林宣彦 〜永遠の魔法〜④ 戦後75回目の夏に…」と題された『この空の花 長岡花火物語('12)』『野のなななのか('14)』『花筐/HANAGATAMI('17)』の3本立てを観てきました。新文芸坐さん、企画ありがとうござい…

ドキュメンタリー「大林宣彦&恭子の成城物語(2019)」ほか雑感|大林映画は“夫婦”の作品

U-NEXTで『ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語 [完全版] ~夫婦で歩んだ60年の映画作り~』を観ました。元々はWOWOWで60分番組として放送されたもので、現在U-NEXTほかで配信されているこちら82分尺の「完全版」は昨年の東京国際映画祭にて公開され…

大林宣彦監督作品「海辺の映画館─キネマの玉手箱」の好きなところをひたすら書きます

大林宣彦監督による永遠の最新作『海辺の映画館─キネマの玉手箱』。公開日の翌日には「とりあえず書き留めておく感想未満の何か」というかたちで感想未満の何かを書きましたが、このたび2回目の鑑賞もしてきましたので今度こそ感想を書きたいと思います。 3…

大林宣彦監督最新作「海辺の映画館─キネマの玉手箱(2020)」待ちに待った公開日、とりあえず書き留めておく感想未満の何か。

2020年7月31日、大林宣彦監督の最新作『海辺の映画館─キネマの玉手箱』を観ました。ついにこの一文を書ける日が来て感無量です。大林監督は2020年4月10日に82歳で亡くなられましたが、奇しくもその日は本来であれば本作の公開日でした。というのも新型コロナ…

大林宣彦監督作品「22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語(2007)」雑感

2007年公開の大林宣彦監督作品『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』をレンタルDVDで観ました。伊勢正三さん作詞作曲のフォークソング「22才の別れ」をモチーフとした作品になっており、こちらは未見ですが2002年公開の『なごり雪』に引き続いての「大分…

大林宣彦監督作品「風の歌が聴きたい(1998)」雑感|いちばん“普通にいい”大林映画かもしれない

1998年公開の大林宣彦監督作品「風の歌が聴きたい」をレンタルDVDで鑑賞しました。 主演は天宮良さん、中江有里さん。そのほか、入江若葉さんはじめ大林組お馴染みの面子が脇を固めます。ちょっとこれは、いまのところダントツで「普通にいい」大林映画でし…

大林宣彦監督作品「三毛猫ホームズの黄昏ホテル(1998)」雑感

赤川次郎さんの同名小説を原作とした大林宣彦監督の映画『三毛猫ホームズの黄昏ホテル』をレンタルDVDで鑑賞しました。 正確には「土曜ワイド劇場」で放送されたテレビドラマのディレクターズカット版で、劇場公開はされていないとか。よく見るとフィルモグ…

大林宣彦監督作品「北京的西瓜(1989)」雑感

漢字が多い(笑) 1989年の大林作品『北京的西瓜』をレンタルDVDで鑑賞しました。監督曰く、読み方は『ぺきんてきすいか』『ぺきんのすいか』どちらでもいいんですよ、二つの読み方があるんですよ、とのこと。 あらすじ 舞台は1980年代、千葉の船橋。八百屋「…

大林宣彦監督作品「瞳の中の訪問者(1977)」雑感

配信されている大林作品は見尽くしてしまいましたが、宅配レンタルのTSUTAYA DISCASにてDVDの在庫が復活してきたので一気に何本か借りました。まずは、1977年公開の2作目『瞳の中の訪問者』から。これ観れると思ってなかったので嬉しい! 原作はなんと、手塚…

大林宣彦監督作品「野ゆき山ゆき海べゆき(1986)」雑感

配信のある大林作品を全て観尽くしてしまい(※1)どうしたものかと思っていたところに、ちょうど池袋の新文芸坐さんにて大林監督追悼特集の第一弾として『野ゆき山ゆき海べゆき』が上映されていたので行ってきました(※2)。2020年6月現在、配信では視聴でき…

90日ぶりの映画館〜新文芸坐にて大林宣彦追悼特集/2度目の「さびしんぼう」雑感

新型コロナウイルスの影響で映画館へ行けなくなって約3ヶ月。この週末、じつに90日ぶりの再会を果たしてきました。と言っても初めましてのところへ行ったのですが。 記念すべき映画館通い再開の場に選んだのは、池袋にある名画座「新文芸坐」さん。理由は単…

動画配信サービスで観れる大林宣彦監督作品21本をリストアップ&簡単に紹介します

4月に亡くなった映画作家、大林宣彦監督。その訃報に触れるまで大林作品をひとつも観たことのなかったわたしですが、軽い気持ちで手を出してみたところ自分でも驚くほど魅了され、気付けば動画配信サービスで取り扱いのある作品を手当たり次第に全て鑑賞して…

大林宣彦監督作品「その日のまえに(2008)」雑感

配信されている大林作品を全て観る(ことに最終的になった)マラソン、ついにゴールです。なぜかHuluでしか配信されていない『その日のまえに』が最後の一本。珍しくウェットな内容と相まって、なかなか感動的なフィニッシュとなりました。ではでは、しゅっ…

大林宣彦監督作品「少年ケニヤ('84)」「彼のオートバイ、彼女の島('86)」雑感

大林作品集中履修(配信作品に限る)、いよいよラストスパートです。今回は1984年公開のアニメーション作品『少年ケニヤ』と、1986年公開の『彼のオートバイ、彼女の島』を観ました。どちらもPrimeVideo内のチャンネル「シネマコレクション by KADOKAWA」に…

大林宣彦監督作品「ふりむけば愛('78)」「金田一耕助の冒険('79)」雑感

大林作品集中履修(配信で観れるもの限定)もそろそろラストスパート。今回はちょっと観るのをためらいがちな70年代の2作品をまとめて鑑賞。百恵友和コンビの『ふりむけば愛』と、シリーズもの?パロディ?よくわからない『金田一耕助の冒険』です。後者に関…

大林宣彦監督作品「花筐/HANAGATAMI(2017)」原作も読んでの雑感

大林作品集中履修、ついに劇場公開済の最新作まで辿り着きました。2017年作品『花筐/HANAGATAMI』。出演は窪塚俊介、矢作穂香、常盤貴子、満島真之介、長塚圭史、山崎紘菜、門脇麦、村田雄浩、柄本時生ほか、といった相変わらずの豪華キャストでございます。…

大林宣彦監督作品「野のなななのか(2014)」熱烈雑感とキャラ語り

大林作品集中履修、ひとまずのゴールがだいぶ近付いてきました。今回は2014年公開の『野のなななのか』を鑑賞。『青春デンデケデケデケ(1992)』に次いで読みづらいタイトル「なななのか」とは、七×七日=四十九日のことだそうです。 この作品とても良くて…

大林宣彦監督作品「姉妹坂(1985)」雑感

大林作品集中履修、1985年公開の『姉妹坂』を観ました。ひとつ前に観たのが『この空の花 長岡花火物語(2012)』だったので次は公開順に『野のなななのか(2014)』のつもりが、170分?!そんなに時間ない! という就寝時間的事情により100分の本作を挟んだ…

大林宣彦監督作品「この空の花 長岡花火物語(2012)」雑感

そう遠からず公開日が再設定されるであろう『海辺の映画館 キネマの玉手箱』を万全の状態で受け止めるため、引き続き大林作品履修ノンストップでいきます。今回はついに2010年代の作品に突入! 『この空の花 長岡花火物語』鑑賞しました。これはやばい。 あ…

大林宣彦監督作品「女ざかり(1994)」雑感

大林作品履修期間、00年代に突入したところですがまたちょっと戻って、1994年公開の『女ざかり』を観ました。こちら、なんと(?)主演は吉永小百合さん! 吉永さんと大林監督の食べ合わせはどんな感じなのでしょうか。 あらすじ 新聞社に勤める弓子(吉永小…

大林宣彦監督作品「転校生-さよなら あなた-(2007)」雑感

ついにオリジナル未見のままリメイクを観てしまいました。まだまだ続くよ大林作品履修期間。今回は2007年公開『転校生-さよなら あなた-』の雑感です。蓮佛美沙子さんの映画初主演作! あらすじ 幼少期を過ごした長野へ尾道から越してきた斉藤一夫(森田直幸…

大林宣彦監督作品「SADA〜戯作・阿部定の生涯(1998)」雑感

どうやらこれで10本目のようです。大林作品履修期間、今回は1998年公開の『SADA〜戯作・阿部定の生涯』を観ました。「阿部定事件」を題材にした物語で、黒木瞳が阿部定を演じています。ところで阿部サダヲって阿部定由来の芸名なんですね、知らなかった。 概…

大林宣彦監督作品「青春デンデケデケデケ(1992)」雑感

大林監督作品履修期間、今回は1992年公開の『青春デンデケデケデケ』を鑑賞。デンデケ-デケデケとはベンチャーズ・サウンドでお馴染みの、あの奏法です。1960年代、バンド活動に高校三年間を費やした少年たちの物語。ギター抱えて、一緒にベンチャーズ練習し…

大林宣彦監督作品「廃市(1983)」雑感

すっかり大林作品に魅了されてしまった今日この頃、さらにその思いを強める一本と出会えました。1983年公開『廃市』。「はいし」と読みます。『転校生(1982)』で映画デビューを飾った小林聡美さんが引き続きの主演。一見とても地味そうな映画ですが、果た…

大林宣彦監督作品「異人たちとの夏(1988)」雑感

引き続き大林作品履修期間として、1988年公開『異人たちとの夏』を観ました。出演は風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子、名取裕子ほか。これはお盆ごろに観るべき映画だったかもしれません。 あらすじ 売れっ子シナリオライターの主人公(風間杜夫)は景気付…