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主に映画の感想文を書いています

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

萩尾望都さんの手記「一度きりの大泉の話」がすごくフィットしたという話

萩尾望都さんの手記『一度きりの大泉の話』を読みました。作家・萩尾望都のファンではあるけれど人間・萩尾望都のファンというわけでは特別ない自分にとってこれは全然知らない話、知らなくていい話、読まないほうがいい類の本なのではないか? そうは言って…

モルカー見里監督の短編「マイリトルゴート」が観れます

『PUIPUI モルカー』の見里朝希監督が東京藝術大学大学院修了制作として作った短編ストップモーションアニメ『マイリトルゴート(2018)』が配信で無料視聴できます(簡単な登録のみ必要)。 同じ羊毛フェルトを使いながら『モルカー』とは対照的にかなりエ…

短編映画「愛してるって言っておくね」「隔たる世界の2人」感想|第93回アカデミー賞短編アニメ賞・短編映画賞受賞作

第93回アカデミー賞にて「短編アニメ映画賞」「短編実写映画賞」に輝いた短編2作『愛してるって言っておくね』と『隔たる世界の2人』をNetflixで観ました。最近ちょっと映画観る時間がないのよね、と思っていたところにちょうどいいのが来てくれました。 約1…

新文芸坐でフィルム上映の「転校生(1982)」を観た

池袋の新文芸坐にて「大林宣彦監督 一周忌追善『転校生』特別上映会」として上映された『転校生』を観てきました。 『転校生』はつい一週間ほど前にWOWOWの放映で初めて観たのですが、(そこに至るまでの経緯は書いたので省略するとして)あんなに長いこと観…

韓国ドラマ「シーシュポス: The Myth」最終話までの感想

Netflixで配信されている韓国ドラマ『シーシュポス: The Myth』全16話を観ました。というか観終わったのは先々週くらいなんですが、うっかり書き忘れておりましたね。 ※この記事は最終話までのネタバレ要素を含みます。ご注意ください。 『シーシュポス』と…

映画「電車を止めるな!(2020)」感想|千葉の鉄道会社が起死回生をかけて自主製作した珍作

千葉の鉄道会社「銚子電気鉄道」が自主製作した映画『電車を止めるな! 〜のろいの6.4km〜』を観ました。経営難による鉄道存続の危機を脱するべくクラウドファンディングで500万集めて作った映画、ということなんですがちょっと既視感が強すぎて困ります。 …

映画「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道(2020)」感想と余談|秩父の消えゆく集落を18年間取材したドキュメンタリー

ドキュメンタリー映画『花のあとさき ムツばあさんの歩いた道』を観ました。 埼玉県秩父の消えゆく集落を2001年から18年間(!)にわたり取材したNHKドキュメンタリー番組7本の再編集版で、このシリーズの存在は今回初めて知ったのですが、じゃあなぜ観たの…

大林宣彦監督作品「転校生(1982)」感想|やっと観れたオリジナル版は、ちっとも古びていなかった。

1年ほど前、訃報をきっかけにのめり込んだ大林宣彦監督の世界。1作目『HOUSE/ハウス(1977)』から観ていこうとするなかで、配信全盛の今まずぶち当たるのは超代表作『転校生』が配信されていないということなんですよね。 レンタル屋は近所から消えたし、D…

映画「21ブリッジ(2019)」感想|求めていた橋は供給されなかった

昨年早世したチャドウィック・ボーズマンの、劇場映画としては遺作になるんでしょうか。犯人を捕まえるためマンハッタン島に架かる21の橋を全て封鎖する!という掴みが最高にキャッチーで、ニューヨークの橋好きとしてかなり期待値を上げていた本作。仮にお…

映画「街の上で(2021)」感想|よくできたコントのような下北沢青春群像劇

今泉力哉監督の最新作『街の上で』を観てきました。ざっくりいうと本作は下北沢を舞台にした群像劇。若葉竜也さん演じる主人公「荒川青(あお)」は、下北沢に住み下北沢で働く、つまり生活圏100%下北沢な男。そんな彼の、劇的ではないかもしれないけれどそれ…

映画「アンモナイトの目覚め(2020)」感想|同性愛というだけで類似作品になってしまうのだろうか、と自問自答ぶつぶつ。

うつ病を患った上流階級の女性と古生物学者の女性が心を通わせていく物語で、主演はケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナン。1800年代前半を生きた実在の古生物学者メアリー・アニングをケイト・ウィンスレットが演じています。非常に重要な発見をし…

【2021改訂版】動画配信サービスで観れる大林宣彦監督作品23本をリストアップ&簡単に紹介します

この記事では、主要動画配信サービスで観れる大林作品をリストアップします。また併せて、配信されている全23+1作品の簡単な紹介もしていきます。大林作品の世界へ一歩踏み込むお手伝いができれば幸いです。

インド映画「マッキー(2012)」感想|ハエを甘く見るな

インドのハエ映画『マッキー』を観ました(掴みがいい)。監督は『バーフバリ』シリーズのS・S・ラージャマウリ。ざっくりのストーリーは「悪漢に殺された男が、愛する女性を守るためハエとして転生する」というもの。同じ女性に好意を寄せていたがために恋…

映画「でーれーガールズ(2015)」感想|ゆるいタイトルと侮るなかれ、でーれー=とっても泣かされた。

原田マハさんの同名小説を映画化したもので、優希美青さんと足立梨花さんがW主演。また彼女らの30年後を元タカラジェンヌの白羽ゆりさんと安蘭けいさんがそれぞれ演じています。「でーれー」とは岡山弁で「すごい」「とっても」を意味する言葉。東京から岡山…

映画「騙し絵の牙(2021)」感想|スピード展開が楽しい、超豪華オールスターキャスト映画。予告芸にも感服。

泣く子も黙る『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督作品です。ざっくり言うと出版業界の内幕を赤裸々に描いたコンゲーム的な物語。ネタバレ要素が多いので多くは語れませんが、とりあえず面白いです。次々繰り出される展開!展開!展開!のテンポ感が抜…

映画「私をくいとめて(2020)」感想|プロのおひとりさまには共感の嵐。そしてコロナ禍映画でもあった!

『勝手にふるえてろ』も最高だった大九明子監督の新作で、のん(能年玲奈)さんが主演です。ざっくりの物語は、30代おひとりさまのヒロイン「みつ子」が脳内相談役「A」とあれこれ自問自答しながら人生していくというもの。『勝手にふるえてろ』同様、独り言…

2021年3月に観た映画を振り返る〈感想記事の一覧〉

3月に観た映画やドラマ、その他映像作品を振り返ります。だいぶ雑多になってきましたが、一応「映画」カテゴリで括った記事は全17本。新作のなかではなんだかんだ『シンエヴァ』が圧倒的だったなあというのと、奇しくもアニメーションであり特撮であり制作年…

映画「グラン・トリノ(2008)」感想|なんとなくの食わず嫌いを後悔。名作でした。

クリント・イーストウッド監督&主演の映画『グラン・トリノ』を観ました。 この映画、なんか渋そうじゃないですか。男とクルマとPTSDのハードボイルドな物語かなと若干身構えていたんですが、どっこい、めちゃめちゃ心温まる名作映画でした。いわば『ニュー…

映画「ノマドランド(2021)」感想|ぼんやり老後を考える

アカデミー賞大本命と噂の『ノマドランド』を観てきました。 なんか地味そうな映画、くらいの印象しかないまま前情報なく観たのでまずはいきなり巨大なAmazonにびっくりするっていう。あれはブラックフライデーとかそういう時期の雇用なんでしょうかね。郵便…