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主に映画の感想文を書いています

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「箪笥<たんす>(2003)」感想|性癖にぶっ刺さる、継母と少女のサスペンスホラー

韓国のサスペンスホラー映画『箪笥<たんす>』を観ました。別冊映画秘宝「韓国映画究極ガイド」内の韓国ホラー特集にてこの場面カット(↑)と共に紹介されており、これは好きそうと思っていた作品です。単純に「あ、可愛い」っていう、それだけの理由です。…

映画「哀しき獣(2010)」感想|牛骨バトルが夢に出そう

『チェイサー(2008)』『哭声/コクソン(2016)』のナ・ホンジン監督作品『哀しき獣』を観ました。ナ・ホンジン監督はこの3本しか長編を撮っていないので、一応コンプリートです。 主演はハ・ジョンウとキム・ユンソク。前作『チェイサー』の主演ふたりで…

映画「ミスミソウ(2018)」感想|白銀のB級スプラッタ

同名コミックを原作とした映画『ミスミソウ』を観ました。悪質ないじめの果てに家族をも失った女子中学生が復讐者と化していく物語です。ずっとマイリストの底に沈んではいたのですが、ふいにAmazonが「観ない?」と通知してきたのでじゃあ観ようかなと。 ミ…

映画「ザ・コール(2020)」感想|電話一本で未来は変わる。タイムパラドックス系スリラーの新たな名作!

Netflixで独占配信されている韓国映画『ザ・コール』を観ました。「20年前と電話が繋がっちゃった」というところから始まるタイムパラドックス系スリラーで、ちょっと感動しちゃうくらい面白かったです。超おすすめです。 主演はパク・シネさんとチョン・ジ…

映画「サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜(2020)」感想|ミュージシャンが難聴になるという、恐ろしく身に迫る話〈ドラマー視点レビュー付〉

Amazon Studios製作、PrimeVideoで配信中の映画『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』を観ました。難聴になってしまったミュージシャンが「聞こえないということ」と向き合う過程を描いた作品です。 本作を知ったきっかけは例によって『アトロ…

映画「サイコキネシス -念力-(2018)」感想|超能力おじさんコメディ、しかしやはり背景には負の韓国現代史が。

『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』『新感染半島 ファイナル・ステージ(2020)』などのヨン・サンホ監督によるNetflix映画『サイコキネシス -念力-』を観ました。 主演はシム・ウンギョンさんとリュ・スンリョンさん。シム・ウンギョンさんは最…

映画「ザ・ハント(2020)」感想|社会派と見せかけた、めちゃめちゃ楽しい人間狩り映画

いきなり罵倒してすみません。去年観そびれた『ザ・ハント』を立川シネマシティさんが上映してくれていたので観てきました。 やれトランプが批判してきて公開延期になっただとか、とにかくなんか過激な社会風刺映画なのだろうというイメージがあった本作。ア…

映画「KCIA 南山の部長たち(2020)」感想|朴正煕大統領暗殺事件を題材にしたハードボイルド・ブロマンスなフィクション作品

今週末から公開になった韓国映画『KCIA 南山の部長たち』を観てきました。韓国では昨年の興行収入第一位を記録している映画だということですが扱っている題材は重く、1979年の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領暗殺事件についての作品です。 自ら築いた独裁的…

映画「Swallow/スワロウ(2020)」感想|「アトロク」の猛プッシュで鑑賞。異食症と人生の物語。

1/1から劇場公開されている映画『Swallow/スワロウ』。わたしの推しラジオ番組「アフター6ジャンクション」でこの作品が2週連続で特集されるという異例の事態が起きまして、気になってしょうがないよ!と観てきました。 「アトロク」こと「アフター6ジャン…

映画「ポエトリー アグネスの詩(2010)」感想|重くてやるせない、ハードコアおばあちゃん映画

イ・チャンドン監督の作品『ポエトリー アグネスの詩(うた)』を観ました。タイトルにでかでかと出た「시」に「……し??」と思わず首を傾げ、続けて出た「詩」で「し!!」と膝を打ったハングル覚えたてのわたしです。なんの話かというと原題は「시(詩)」…

映画「サマリア(2004)」感想|書くことがなくて墓の話に逃げる

キム・ギドク監督の『サマリア』を観ました。タイトルからしてヤバいやつを覚悟していたんですが、これまで観てきた同監督作『魚と寝る女(2000)』『悪い男(2001)』『嘆きのピエタ(2012)』に比べればだいぶクセのない映画だったかなあという印象です(…

Netflixドラマ「センス8」紹介|「エモい」という言葉はこの作品のためにある! 〜シーズン1ふんわり感想〜

Netflixで配信されているドラマシリーズ『センス8(Sense8)』にハマっています。『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉妹を中心に製作された作品で、ジャンルは一言で表しづらいのですがSFでありクィアなヒューマンドラマでありディスカバリーチャ…

映画「私の少女(2014)」感想|ぺ・ドゥナ主演、イ・チャンドン監督プロデュースのシリアスな作品

『子猫をお願い(2001)』に引き続き、ぺ・ドゥナさん主演の韓国映画『私の少女』を観ました。ユリイカ「韓国映画の最前線」特集号で監督のインタビューが組まれていたことから知った作品です。 ユリイカ 2020年5月号 特集=韓国映画の最前線 ―イ・チャンドン…

映画「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち(2020)」感想|その歴史から失禁ドライブ体験まで。映画ファン必見のドキュメンタリー

「車に撥ねられる練習は、実際に撥ねられるしかない」「火だるまは得意」──予告編で見たパワーワードの数々に、これは絶対観なきゃと思っていたドキュメンタリー映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』を観てきました。 映画やドラマ…

映画「子猫をお願い(2001)」感想|のどかなコメディかと思ったら。後の「はちどり」にも繋がる作品

韓国映画『子猫をお願い』を観ました。ぺ・ドゥナさんの初期主演作品としてタイトルは以前から知っていましたが、観るのがだいぶ遅くなりました。 ぺ・ドゥナさんは山下敦弘監督の『リンダ リンダ リンダ(2005)』や是枝裕和監督の『空気人形(2009)』など…

映画「ハッピーエンド(1999)」感想|おじさんヒロインのチェ・ミンシクが可愛い

『シークレット・サンシャイン(2007)』からのチョン・ドヨンさんつながりで、韓国映画『ハッピーエンド』を観ました。ざっくり言えば不倫もののメロドラマで、公開当時はチョン・ドヨンさんの大胆なベッドシーンが話題になったそうです。 確かにもう、始ま…

映画「シークレット・サンシャイン(2007)」感想|地味なのに展開が早く、いちいち行間が痛い(褒め)

イ・チャンドン監督の『シークレット・サンシャイン』を観ました。主演はチョン・ドヨン、そしてソン・ガンホ。かつてライムスター宇多丸さんも年間ベストに選んでいた本作、同監督の作品は昨年末に観た『バーニング 劇場版(2018)』がすごく良かったので楽…

映画「チャンシルさんには福が多いね(2019)」感想|何も起こらないのが嬉しい(耳野郎も出てます)

公開されたばかりの韓国映画『チャンシルさんには福が多いね』を劇場鑑賞しました。ポスターからなんとなく『おらおらでひとりいぐも(2020)』みたいな、おばあちゃんが主役の話なのかなと思い込んでいたんですけども、これがじつはアラフォー独身女性のお…

映画「分断の歴史 朝鮮半島100年の記憶(2019)」感想|分断のわけ、統一への課題点。100年分の朝鮮近代史を2時間でさらうドキュメンタリー

渋谷シアター・イメージフォーラムにて『分断の歴史 朝鮮半島100年の記憶』を観てきました。先日『バクラウ 地図から消された村(2019)』を観に行った際に予告を観て、これは!と思っていた作品です。 内容はタイトルそのままのドキュメンタリーで、監督は…

映画「しとやかな獣(1962)」感想|とある団地の万引き家族(なるほどこちらもパラサイト!)

先日『パラサイト 半地下の家族(2019)』に大きな影響を与えた映画として『下女(1960)』の感想を書いた際にコメントで教えていただいた川島雄三監督の作品『しとやかな獣(けだもの)』を鑑賞しました。 調べてみると『パラサイト』の公開当時から話題に…

好きを増やして日々を楽しく 〜TBSラジオ「アフター6ジャンクション(アトロク)」のススメ〜

このブログ内に度々登場する〈アトロクことTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で〜〉もしくは〈ライムスター宇多丸さんが〜〉という言い回し。散々お世話になっておきながらこの『アトロク』なるラジオ番組についてちゃんと紹介したことがなかったので、…

大林宣彦監督作品「麗猫伝説(1983)」感想|入江たか子&入江若葉の母娘共演による「サンセット大通り」

1月9日は大林宣彦監督の誕生日でした。そういえばDVD買ったきりまだ観てないんだったと思い出し、1983年の作品『麗猫伝説(れいびょうでんせつ)』を鑑賞しました。 再生するまで知らなかったのですが、この作品は「火曜サスペンス劇場」用で、しかも100回記…

映画「下女(1960)」感想|「パラサイト」に大きな影響を与えた、韓国の元祖「階段映画」

こんなに古い韓国映画を観るのは初めてです。キム・ギヨン監督1960年の作品『下女』を、Blu-rayを購入して観ました。もともと韓国映画クラシックの代表的な作品だったようですが、ポン・ジュノ監督が『パラサイト 半地下の家族(2019)』の製作において大い…

映画「嘆きのピエタ(2012)」感想|残念ながら、こういう映画は好きです。

キム・ギドク監督の作品『嘆きのピエタ』を観ました。前の日には『トガニ 幼き瞳の告発(2011)』で心を痛めていたというのに、翌日観るのがよりによってこれかよ、と後悔しました(時間がなくて、短尺の作品しか選べなかったんや……)。 新型コロナウイルス…

映画「トガニ 幼き瞳の告発(2011)」感想|公開後に司法をも動かした、社会派韓国映画ひとつの頂点。

韓国映画『トガニ 幼き瞳の告発』を観ました。ずっと観たかったこの作品、なんといっても『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』『82年生まれ、キム・ジヨン(2019)』へと続いていくコン・ユ×チョン・ユミの初共演作なのです。が、そのわりには流通し…

映画「バクラウ 地図から消された村(2019)」感想|何が起こっているのか全く見えてこない系の映画が好きな人は絶対好き系

渋谷シアター・イメージフォーラムにて映画『バクラウ 地図から消された村』を観てきました。1本前の『ブルータル・ジャスティス(2018)』と同じくこちらも「アトロク」ことTBSラジオ「アフター6ジャンクション」内で特に最近話題の作品。アトロクがなかっ…

映画「ブルータル・ジャスティス(2018)」感想|タランティーノ的おしゃべり地味バイオレンス映画

S・クレイグ・ザラー監督の『ブルータル・ジャスティス』を観ました。「アトロク」ことTBSラジオ「アフター6ジャンクション」リスナーの方ならすっかりお馴染み、ライムスター宇多丸さん山本匠晃アナウンサーはじめ番組関係者さんたちが2020年ハマりまくった…

2020年に読んだ本の一覧

2020年に読んだ本の備忘録と簡単な紹介です。リンク先は主にAmazon、括弧内は著者のみ表記。今年はもう少しマメに本の感想も書いていけたらと思っていますが、果たして。

VRゴーグルとの相性抜群なドラマ「アップロード ~デジタルなあの世へようこそ〜(PrimeVideoオリジナル)」

PrimeVideoオリジナルの海外ドラマ『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ〜』を観ました。舞台は近未来、人間が「従来の死」だけではなく「仮想現実の天国」を選べるようになった時代の物語。希望すれば自意識を全て「アップロード」してからこの世を…

映画「新感染半島 ファイナル・ステージ(2020)」感想|新年一発目、まあウイルスに打ち勝てそうではある。

2021年一発目は元日公開の韓国映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』を劇場にて。『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』の続編ですが、同じ世界線を舞台にした全く違う話なので前作未見でも問題はありません。 あらすじ 人間をゾンビ化させてしま…