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主に映画の感想文を書いています

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

是枝裕和監督作品「歩いても 歩いても(2008)」雑感|希林さんのおかげで俄然明るくなった是枝作品

是枝裕和監督の作品履修を『誰も知らない(2004)』から再開したはいいものの、早速その次の『花よりもなほ(2006)』が一切配信されていないという壁にぶち当たりました(笑) 配信時代のこのもどかしさはなんとも言いがたい。そんなわけでいきなり飛ばして、…

是枝裕和監督作品「誰も知らない(2004)」雑感|こんなのきっと気付かない

『幻の光(1995)』『ワンダフルライフ(1999)』『DISTANCE(2001)』と順番に観てきたところで一年近く途切れてしまっていた是枝裕和監督の作品履修を再開。まずは2004年の『誰も知らない』から。 実際に起きた育児放棄の事件をモチーフとしたオリジナル脚…

Netflix映画「エノーラ・ホームズの事件簿(2020)」雑感|強く逞しく可愛いミリボビちゃんが見れて満足

Netflixオリジナルの映画作品として配信されている『エノーラ・ホームズの事件簿』を観ました。主演は『ストレンジャー・シングス』シリーズのミリー・ボビー・ブラウン。シャーロック・ホームズの妹(という設定の)エノーラを主人公とした同名小説が原作で…

ジャック・ドゥミ監督作品「ロバと王女(1970)」雑感|大好きなタイプの妙ちきりん映画

『シェルブールの雨傘(1964)』『ロシュフォールの恋人たち(1967)』などで有名なジャック・ドゥミ監督の作品『ロバと王女』を観ました。主演は常連のカトリーヌ・ドヌーヴ、音楽も同様にミシェル・ルグラン。ですがちょっとマイナーな作品というイメージ…

映画「TENET テネット(2020)」雑感|時間の逆行は身体的負担が大きい(体調のいい日に観ましょう)

クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』をIMAX鑑賞しました。かなり前から予告を見ていたので、ついに公開されたのかという感じの作品ですね。ネタバレらしいネタバレはありません(ネタバレできるほど理解してないし)。 出演は『ブラック…

AppleTV+オリジナル「ザ・モーニングショー」雑感|セクハラ報道でキャスターが降板となった人気番組の裏側を描くドラマ

Appleの動画配信サービスAppleTV+で配信されている海外ドラマ『ザ・モーニングショー』を観ました。アトロクこと「アフター6ジャンクション」にて6月ごろから猛プッシュされておりまして、#MeToo運動に端を発した内容の作品ということで脳内ウォッチリスト上…

黒澤明監督作品「羅生門(1950)」雑感|こんなにもシニカルでホラーでカルトなサスペンスコメディ、だったとは

まだ観てないんですと言いづらい映画の個人的筆頭『羅生門』をようやく観ました。国立映画アーカイブで特別展示が始まったらしいぞ、行きたいな、その前に観ないとな、っていう謎な流れです。 言わずもがな芥川龍之介を原作とした黒澤明監督の作品ですが、芥…

久石譲「草の想い〈大林宣彦監督作品『ふたり』主題歌〉」をアレンジ・演奏しました

大林宣彦監督の映画『ふたり(1991)』は初見こそつい最近ですがなかなか思い入れの強い作品です。という話は2本も記事を書いてしまいましたのでそちらをお読みください(大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」本編と、“ウソからマコト”極まるメイキングの雑感…

映画「ミッドウェイ(2019)」雑感|真珠湾攻撃〜ミッドウェイ海戦を中立視点から描いたローランド・エメリッヒ最新作(しかし居心地が悪い)

ローランド・エメリッヒ監督の新作『ミッドウェイ』を劇場鑑賞しました。太平洋戦争における真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦までの戦局を、日米双方の視点で描く作品です。日本からは山本五十六役の豊川悦二さんをはじめ、國村隼さん、浅野忠信さんらが海軍…

大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」2回目の雑感|脚色のことや、ありったけの感想など

池袋・新文芸坐さんの2本立てで、大林宣彦監督の「新・尾道三部作」1〜2作目にあたる『ふたり』と『あした(1995)』を観ました。とはいえ『ふたり』はつい一週間ほど前にBlu-ray(新たにリリースされたもの)を購入して観たばかり。こんなにもすぐにスクリ…

大林宣彦監督作品「あした(1995)」雑感|終始美しいグランドホテル形式ファンタジー

池袋・新文芸坐さんにて大林宣彦監督の『あした』を劇場鑑賞しました。監督の生まれ故郷・尾道を舞台にした「新・尾道三部作」の1本目で、つい先日観たばかりの『ふたり(1991)』が2本目となります(今回こちらも同時上映だったので併せてスクリーンでの鑑…

映画「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐(1960)」雑感|エメリッヒ版「ミッドウェイ」の予習を兼ねて

ちょっとお久しぶりの戦争映画です。この週末からローランド・エメリッヒ監督の『ミッドウェイ』が公開ということで、いちばん関連性が高そうな作品『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』を観ました。シリーズではないのでしょうが『太平洋の翼(1963…

大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」本編と、“ウソからマコト”極まるメイキングの雑感

4月に大林宣彦監督が亡くなり、どれか観てみようかなと思っていたところで最初におすすめいただいたのが『ふたり』でした。調べてみると確かにとても人気の高い作品、しかし配信がどこにもない! 最寄りTSUTAYAも潰れて久しいわたしは諦めて『HOUSE/ハウス…

映画「レディ・バード(2017)」雑感|グレタ・ガーヴィグ監督×シアーシャ・ローナンの第一弾作品

グレタ・ガーヴィグ監督の『レディ・バード』を観ました。監督&主要キャストが共通している『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)』の公開タイミングで観ようと思っていたのですがずるずる後回しになっておりましたよ。あるある。 物語…

宝塚の沼へようこそされている記録〈第一段階:つま先〜足首〉

手を出すまいと思っていた宝塚。しかし己を幸せにしてくれるものはできる限り多いほうがいい昨今。緊急事態だ、やむを得まい。そんなわけで早くも4公演くらい(映像で)観ています、もう手遅れでは? という第一段階の記録です。 星組公演「Killer Rouge(キ…

映画「コレット(2018)」雑感|“奔放”な女流作家、という印象を持つこと自体間違っているのかもしれない。

先日ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』を観劇したとき、カンカン帽をかぶった文筆家のヒロインを見て「あ、そういえば観なきゃ」と頭をよぎった映画がありました。それが『コレット』です。 主演はキーラ・ナイトレイ。とても好きなお顔立ちの女優さ…

ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」の魅力と、2020年版初日ソワレ観劇レポート

日比谷シアタークリエにて、ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』を観てきました。コロナ以降初となるリアル観劇ですのでその記録も兼ねて、この作品の紹介および観劇レポを書いていきたいと思います。 「ダディ・ロング・レッグズ」について ジーン・…

深田晃司監督作品「よこがお(2019)」雑感|血の気が引く、背筋が凍る、胸糞悪い、でもめちゃくちゃ面白い

深田晃司監督の『よこがお』を観ました。WOWOWでなんとなく録画しておいた一本だったのですが、これが非常に面白かった。監督、かなりの変態ですね……。 本作はまず何より主演・筒井真理子さんの怪演を愉しむ映画であり、あらすじを書いてしまうと楽しみが削…

2020年8月に観た映画を振り返る

8月の鑑賞映画を振り返ります。7月分はこちら。 新作 アルプススタンドのはしの方 ようこそ映画音響の世界へ ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 旧作 ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語(2019) この世界の(さらにいくつもの)片隅に…

映画「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019)」雑感|スカッと笑いたい全ての人へ

女優としても活躍するオリヴィア・ワイルドの長編初監督作品『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』を劇場鑑賞しました。 「ブックスマート=book-smart」とは「(学歴や教養はあるが)世間知らず」な人のことを形容する言葉だそうです。つまりこ…