353log

主に映画の感想文を書いています

映画「ブラック・ウィドウ(2021)」ほか「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」「シビル・ウォー」などの話

映画「ブラック・ウィドウ」より
映画「ブラック・ウィドウ」より

一週間ほど前にMCU最新作『ブラック・ウィドウ』をようやく観ました。感想は「面白かったけど、忘れていることが多すぎた」

※以下、『ブラック・ウィドウ』自体のネタバレはほぼないと思います。いろいろ忘れてたのでいろいろ観たよ、っていう話です。


MCUは一通り観ていますが、繰り返し観るのが苦手なくせに記憶力も悪いもんで、作品間の繋がりとかそういうやつがてんで分からなくて。でもMCUの楽しさってそこじゃないですか。綿密に設計されたユニヴァースの絡み合いに舌鼓を打つエンタメであることはもはや前提なわけですから、ちゃんと準備して臨まなかったわたしが悪い。

てなことで、関連作をいろいろ観ていたここ一週間でした。まずはDisney+で配信中のドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』全6話。『ブラック・ウィドウ』本編との直接的な関係は少ないのですが、観なきゃいかんかと思わせられる程度の関連性はある作品です(一応濁しておく)。

こちら、『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)』後の世界を舞台に「ファルコン」ことサムと「ウィンター・ソルジャー」ことバッキーにスポットを当てた作品となっておりまして、キャップから盾を託されたサムはその後どうしたのか?っていう話です。

サムとバッキーのことが俄然大好きになってしまうスピンオフ的魅力はもちろんとして、MCUを観ているはずなのに『ザ・ボーイズ』と見まごうような展開だったり、今の時代をダイレクトに反映させた予想外ながら納得でしかないラストの着地など、かなり見応えのある作品でした。これはスピンオフじゃなくて超重要な本編だったんですね。「復帰難民」とかそういう地に足ついたSF感もすごく好きです。

で、ただ、やっぱり例によって「忘れていることが多すぎる」ので、『ファルコン&〜』と関連性の高いシビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)を観直しました。あの、これはわたしのようなすぐ忘れちゃうタイプの方にお勧めしたいのですが、『ファルコン&〜』を観てからの『シビルウォー』、めちゃめちゃ楽しいですよ! 知ってる人ばっかり出てくるので!(どんだけ忘れてんだよとお咎め必至)

『シビル・ウォー』を観たのにはもうひとつ理由があって、『ブラック・ウィドウ』は『シビル・ウォー』から繋がっている(というかあの映画の別視点の)お話だったのですよね。そのへんはこちらの記事がとても分かりやすかったので観賞後にチンプンだった方はぜひご覧ください。


そして『シビル・ウォー』『ブラック・ウィドウ』ときて次に繋がるのは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)』だそうなので、こちらも飛ばし飛ばしで鑑賞(ガーディアンズやサノスあたりは全部飛ばした。すまん)。そこでのナターシャの服装を見て「なっるほ〜どね〜!!」と新鮮に感動できるのは記憶力のなさゆえ。ありがたや。

そんな感じで、つまり『ブラック・ウィドウ』で久々にMCUを観たらなんかいろいろ忘れてて分かんなかったっていう方は、とりあえず『シビル・ウォー』を観直す、もしくは『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』を観てドラマシリーズにも追いついておく、順番はどちらでもいいと思いますが、おすすめです。おそらくはMCU熱、再燃できます。

MCU文脈関係ない『ブラック・ウィドウ』感想

『ブラック・ウィドウ』、新キャラが多いので文脈抜きでもそこそこ語れる映画ではあります。発表当時いちばんアガったのはデヴィッド・ハーバーのMCU入り! あたくし的にはなんと言っても『ストレンジャー・シングス』シリーズのホッパー署長なんでございますよ。嬉しかったですねえ。っていう、まあそれだけなんですが。

それよりも実際観てみると、署長を父とするナターシャの家族がまあすごい。レイチェル・ワイズ、フローレンス・ピュー、スカーレット・ヨハンソンて、イケメンが大渋滞起こしてるんですけど。強すぎでしょ全員、眉毛が。この3人なら誰に殺されてもいいですよね。至福です。

強すぎでしょ(映画「ブラック・ウィドウ」より)
強すぎでしょ
(映画「ブラック・ウィドウ」より)

なかでもナターシャの妹にあたるフローレンス・ピュー、約束された最高とでも言いますか。語彙リストが「最高」で埋め尽くされていて他の言葉が出てきません。この姉妹が大活躍する街中チェイスシーンやヘリアクションシーンは、こういう映画久しぶりー!!!たのしー!!!ってなりましたね。幸せでした。鬱憤のたまる昨今、これが観れただけで大満足・大感謝の映画だと思います。

逆に言えば、一連の痛快アクションが終わってからは「まだ終わんないのかな」と感じてしまった部分もあって。文脈の復習をした今、もう一度観たら印象も変わるのかもしれません。Disney+の定額枠に入ったら観てみようかな。その頃にはまた全部忘れてそうですけど。

(2021年115・116本目/劇場鑑賞・Disney+) 好評な『ロキ』も観始めました。まだ1話なので全然わかんないけど、面白そう。つくづくMCUは「全然違うやつ」の引き出しがすごい……と感嘆。そうそうあと、やっぱり映画館で観るMARVEL STUDIOSのロゴは高揚感が段違いでした。ああ映画館が戻ってきた、って気がした。

映画「愛・アマチュア(1994)」感想|ハル・ハートリーを観る② 記憶喪失の男と魅力的な女性たち

映画「愛・アマチュア」より
映画「愛・アマチュア」より

先日『トラスト・ミー(1990)』で初ハートリーしたばかりのハル・ハートリー監督作品、続けて愛・アマチュアを観てみました。なんやねんって感じの邦題ではありますが、30年近く経てばまあこれくらいキャッチーなほうが残りやすいのかもしれません。『神(帰ってきたフライング・アロウ)』的なことよ(突然のマイケル・シェンカー)。


さてこの作品、カフェで原稿を書いている女性のシーンから始まります。タバコを咥え、文章を音読しながらタイプする女性。しかしどうも様子がおかしい。というか、内容がわいせつ。他のお客様に迷惑なのでは……と思った瞬間「ちょっといい加減にしてよ!!!」。ナイス・クレーム。

これ真っ先に連想したのが大林宣彦監督の『女ざかり(1994)』という(偶然にも同じ1994年の!)作品の冒頭です。主演の吉永小百合さんが黙々と朝食をかっ込んでいる後ろで、庭先の娘が檀一雄花筐』の一節をうっとりと朗読している。微妙な空気感がしばし続いたのち我慢しきれなくなった吉永小百合さん、「何それ気持ち悪い!」と一刀両断。そこだけめちゃくちゃ似てるので是非あわせてご覧ください(本作と同じくU-NEXTで観れます)。

愛・アマチュア』のほうに戻りまして、わいせつな文章をタイプしていた女性はフランス映画界の至宝イザベル・ユペールさん。本作のヒロインその1であり、U-NEXTの作品ページに書かれている表現を拝借すると「尼僧からポルノ小説家に転身した女性」の役を演じます。なんだその掴みの良さは。

映画「愛・アマチュア」より
映画「愛・アマチュア」より

ヒロインその2は、ハル・ハートリー作品の常連であるらしいエリナ・レーヴェンソンさん。彼女が演じるコケティッシュかつ裏社会のにおいがする前髪パッツン女はもう一見して魅力たっぷりで、第一印象は「『パルプ・フィクション(1994)』っぽい」でした。ってあれ、こっちも1994年?! 連想する作品すべて同じ年じゃないか。どういうこっちゃ。

「愛・アマチュア」パッケージ「パルプ・フィクション」パッケージ
これは流石に意図的なのでは?というシンメトリー

この二人に加えて、『トラスト・ミー』の主人公でもあったマーティン・ドノヴァンさんが本作でも主人公「記憶喪失の男」を演じます。記憶喪失の男を拾った元尼僧のポルノ小説家、その男と何か因縁がありそうな前髪パッツン女。さあ一体どんな物語が展開していくのでしょうか。

ってなところでそれ以上内容には触れませんが、とにかくメインキャラの女性二人が魅力的! 女の人が魅力的な映画はもうそれだけで満足、というわたし的には大満足の一本でございました。程よいコメディ感も好きな塩梅。終盤の脚本は雑かなあと思いましたけど、まあ、よい、まあよい。普通に面白いです、おすすめです。

(2021年112本目/U-NEXT)



観る③「シンプルメン(1992)」

後日さらに観たけど記事ひとつ書くほどの気力はないシンプルメンについて追記。超ざっくり言うとロードムービーで、いろんな人たちが交差したりしなかったりする群像劇です。こちらも前髪パッツン女ことエリナ・レーヴェンソンさんがメインキャストに入ってます。

これまでに観た2本よりもオフビートやらシニカルやらシュールやらそのへんの色が強く、自分のツボに入る瞬間が時々ある、みたいな作品でしたね。女を惚れさすことしか頭にない傷心男とか、ガソリンスタンドのギター男とか、ところどころ好きでした。観るタイミングによってはもしかしたらかなり刺さる類の映画かも、と思ったりもしました。

(2021年118本目/U-NEXT)