- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2014/09/10
- メディア: Blu-ray
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超あらすじ
戦争映画の撮影中。迫真の演技をさせるため実際の戦場さながらなジャングルに放り込まれた俳優たちだったが、到着早々に地雷で木っ端微塵になった監督を見て「もしかしてここは本物の戦場なのでは?」と疑い始める。
知識があってこそ本当の意味で笑える風刺映画
本作は毎度おなじみライムスター宇多丸さんの本(TAMAFLE BOOK 『ザ・シネマハスラー』)で宇多丸さんがだいぶ楽しんでらしたので興味を持って鑑賞したのですが、結論から言うとわたしにはまだちょっと早かったです。というのもどうやらこれ、ハリウッドの映画制作事情をとことん皮肉ったりパロッたりしているようで、わかりやすいギャグで表面的に笑うことはできても、本当のおもしろさというのは多分そういったハリウッド事情に通じていないとわからないのであろう、と思うんですね。
すごい凝った作りになっていて、まず冒頭、いきなりフェイクの予告編映像が次々と流れてきてなかなか本編に入らないのですけど。そのフェイク予告編だけでもきっと相当な情報量なのだろうということが、わからないなりにわかってしまうのです。そしてそれを確信に変えたのが、町山智浩さんのこちらの解説。
全30分のポッドキャスト中、なんと15分ほどを使ってこの予告編について解説されてます(笑) 当然、30分に達する頃にはまだ序盤のさわりくらいしか言及できていないという、逆に言えば町山さんほどハリウッド事情に明るい人であれば映画冒頭部だけでも早口で30分語り倒せるほどの情報量がある映画、ということになります。よって、わたしがここに知ったかぶりして書けるようなことはありません! 町山さんのを聴いてください!(笑)
まあとはいえ、黒人役に憑依しすぎて黒人としか思えないロバート・ダウニー・Jrのじわじわくる面白さとか、到底トム・クルーズとは判別できない別人系トム・クルーズとか、なによりいきなり地雷で吹き飛ぶ監督とか、全編シュールに徹した独特な笑いは事情抜きでも楽しめます。最後はなんかいい話だなって思っちゃったし。スプラッタ方面含めてだいぶブラックジョークがエグいので、そういうのあんまり得意じゃないわたしは少々引いてしまいましたが。
「カメラを止めるな!」にも通じる作品
先日鑑賞した「カメラを止めるな!(2017)」にもすごく通じる作品だなと思っていて、というか今回鑑賞したきっかけというのは「そういえばなんか似たような設定の映画あったよな」と思い出したからなんですが、実際すごく通じるものがありました。
たとえば、二層構造になっているところ(そして一層目に漂う超B級感)、映画やテレビの制作現場を描きながら風刺的な要素も含んでいるところ、入り込みすぎる役者、人が変わる監督、予想外のトラブルにも「カット!」をかけてもらえないところ、意外とほろっとしてしまうところ、等々。莫大な予算と超豪華なキャストを使ったハリウッド版「カメラを止めるな!」的作品のひとつですね。またベン・スティラーの背景を知ると、制作兼主演ライアン・レイノルズの執念が詰まった「デッドプール」シリーズにも通じるなと思ったり。
というわけで、上記の町山さんの解説をしばらく聴いてみてピンときた方はおそらく真の意味で楽しめると思うのでおすすめします。わたしは、いつかリベンジできる日が来るのかどうか(笑) とりあえずだいぶわかった気にはなりました!
(2018年153本目)